月夜 百四十六夜目 ページ25
「あ、あの、サイン……」
「え？あ、あぁ、サインか……」
Aiとの漫才フェイズ(？)を止め、おずおず、という風にリデルが差し出してきたスケッチブックを受け取り、マッキーの蓋をあける
Playmakerはどこかの芸能人やスポーツ選手のような解読が難しい流れ文字や草書体ではなく、きっちりとした楷書体で自身のアカウント名を書いた。Aiはどこで覚えてきたのか、可愛い丸文字で書いた自身のあだ名と自身の似顔絵付きのサインを書いた
「……ほら、これでいいのか」
「ッ、！あ、あ、有難うございます……！！！はぁぁぁ……家宝決定……」
【でもそれ、データだろ？現実世界で物質化……「黙れ」ハイ……】
スケッチブックを抱き締め、うっとりと目を細めるリデルに、Aiがちょいちょい、と指でスケッチブックを指差そうとするのを止める
例えリデルが本当に自分のファンだったとしてもだ。今、リデルのプライベート空間で、部屋主のへそを曲げさせたら、何が起こるか分からない。下手すれば、先程の『Program：Another』をもう一度発動される可能性だってあるのだ。ここは慎重に行きたい
「あの、Aiさんからまでサインも頂けちゃうなんて……あ、この空間からは、何時ものLINK VRAINSのログアウトの手続きをすれば出れますので……」
「……では三つ、質問しても良いか？」
「あ、はい。私にお答えできるものなら幾つでも……」
「一つ。お前は本当に、レジーという名前に覚えはないんだな」
「はい。そもそも、私はLINK VRAINSに来たのは本当に久しぶりなので……」
「二つ。浅葱は今何処に居る。無事なのか」
「未月ちゃんの無事は勿論保証します。何処に居るかは言えませんが……」
「三つ。……お前とPandora プロジェクトとの関係性を話せ」
Playmakerが質問する度に一本ずつ立てていき、三本目の指を立てた、その瞬間。先程まで満面の笑みを浮かべていたリデルの顔がピシリと強張った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠伊亞 | 作成日時：2019年5月18日 21時
