【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ15)

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月夜百三十六夜目ページ15

「……どうして、お前がそれを知っている？」

「どうして、お前が未月ちゃんの旧姓を知っている？」

ギギギ、と錆び付いた機械を動かした時の音がしそうな位、ゆっくりと亜理子は首を傾げた
先程までの弱々しい態度は消え去り、返答によってはお前を消す、と言わんばかりの瞳で遊作を見つめる

だが、遊作は動けない。亜理子の鋭い瞳がまるで遊作を、蝶を展翅板に張り付けるピンのように縫い止めているからだ

「おい、答えろ藤木遊作。……あぁそうか、答えるつもりは無い、という訳か」

どうやら“遊作は答えるつもりはない”という風に捉えたらしい亜理子は、いまだ硬直状態にある遊作の左手首を右手で掴んで、自身の左腕の方へと近づけさせた

「なら、別に良い。時間ならたっぷりある。

……向こうで、じっくり話を聞いてやんよ」

制服の袖に隠れて見えなかったが、亜理子の左腕にはハノイの騎士が使用するデュエルディスクがいつの間にか嵌められており、黒く光るラインから、もう起動されている事が分かる

「……！やはり、お前は！」

「『Program：Another』起動。Into the VRAINS！」

短く発せられたその言葉を遊作が認識するよりも早く、亜理子のデュエルディスクと遊作のデュエルディスクから白い光が溢れだした