ー2ーメルティブラッド ページ7
「も、もしかしてあれですか！？何も見返りないのに人の過去を聞くとかーとかそういうやつですか？」
はぁ？と再びナワーブさんにガチギレされこれも違うのかと冷や汗が止まらない。いやだっていつもなら先輩いたけど今いないし場のおさめ方とか分かんないしいやしかし彼の過去が本物なら一世一代の大チャンス。ドキュメンタリーまで組めちゃうやつだ。荘園の記事より確実なスクープ、逃したくはない。
「何、何かくれるって事？」
「あー、お金は、ないので、あーしにできることであればなんでも・・・」
パシリとかゲームでの肉壁とか！と提案すると先ほどとはうってかわってそわそわし始めたナワーブさんに首を傾げる。あれ、またなにかいけないこと言った？
「なあ、本当に何でも？」
「な、何でもですよ、その代わり取材させてくださいね！何でもしますから、ね！？」
分かった、と頷いてかれたナワーブさん。あーしは思わず歓喜のガッツポーズをする。先輩あーしついに一人で仕事取れましたよ！一人前ですよね！？なんか毎日やばいピエロとか鹿に追われてますけど出世記事取れましたよ！！！
「えっとじゃあまず」
「こっちが先な。」
顔を上げるとすぐ近くにナワーブさんの顔面が近づいておりあーしは間抜け面で固まる。ペンと紙がコロコロ転がるけれど目はナワーブさんに固まってしまっていて、彼の顔があーしの顔を通り抜けて首筋へと迫り
「いっ」
かぶり、と。何かに貫かれたような鋭い痛みが走った。
「ちょ、ナワーブさ」
ずずず、と嫌な音がして貧血気味の頭がハラハラし始めた。これ不味くない？とあーしのおバカな頭でも判断ついたので必死でナワーブさんのお腹を押すけれどビクともしない。ずずず、と恐らく血液を吸うであろう音が響いていく。
「や、ちょ、頭、頭やばいのでいっん」
力がどんどん抜けていき頭が揺れ始める。視界が覚束ず倒れてしまいそうだ。きつい辛い眠い痛い。鉄の匂いが充満し続ける中吸い続ける音が響く。
「ナワ、ブさ、ごめん、なさ、も、やめ」
最後に強く吸うような音がして首筋から痛みが抜けた。思わず椅子の肘掛に倒れ掛かりながら必死で呼吸する。
「で、何が聞きたいんだ？」
酷く意地の悪い顔で私を見下ろすナワーブさんに思わず中指を立てあーしは立ち上がろうとしてぶっ倒れた。尚この後取材はちゃんとした。
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