二十二、治が怖いです ページ23
「A？ 私の顔を見るなり国木田君にしがみつくなんて、幼馴染甲斐がないねえ」
避けられているみたいで傷つくよ、とまったく傷ついていなさそうな口調で嘯く治。
『みたい』じゃなくて事実避けてるんです、なんて今の治に云える筈もなく、わたしは国木田さんの背中に回る。
気が立っている、不機嫌、そんな治は珍しいけれど、珍しいだけに逆らうのは怖い。
わたしはマフィア時代の治のこともよく知っているから此奴の冷徹さには慣れている。
尤もその冷徹さがわたしに向けられたことはないが、治が怒ると怖いことだけは身に沁みている。
「A、ほら、こっちにおいで？ 君も仕事なんだ、現場に来ることは仕方のないことだろう？
怒ってないから、……今すぐ国木田君から離れ給え」
「おい太宰、落ち着け。何があったが知らんがその昏い怒気を仕舞え。
見ろ、津島が首がもげそうなほどブンブン頭を振っているだろう。足が生まれたての小鹿のようだ。
……お前がその状態では、『怒っていない』という発言にはなんの説得力もないぞ？」
国木田さん、わたしの云いたいことを理解してくれて、通訳してくれて、ほんとありがとうございました。
「A」
「……な、なに」
「そういえばわたしの手元にはこんなものがあるのだけど」
「ぎゃあああああああ！！！」
とても淑女とは思えない悲鳴を上げて。
砂色の外套から取り出された一枚の紙に、わたしは急いで飛びついた。
この野郎！ よりにもよって国木田さんと崎見さんの前で婚姻届をどうにかしようとしたな！！
勘違いでもされたらどうし、
「……あれ？」
「つーかーまえたっ」
……これ、婚姻届じゃ、なくね？
「うふふ、何と勘違いしたの？ その住宅情報誌を。そんなに私との新居を選びたくなっ」
「やめて！！ お願い騙した挙句に全部台無しにするのやめて！！」
「冗談だよ」
住宅情報誌を切り取ったそれらしき一枚を握りしめながら、わたしは涙目で叫ぶ。
わたしの胴をしっかりホールドしつつ、治は目が笑っていない顔のまま微笑み、「涙目のAも可愛いよ」などとほざいた。
どうしよう死ぬほど腹が立つ。
「……あなたがAの検察事務官殿ですか？」
「ああ……はい、そうですが」
「すみません。この通りAは急に体調不良となってしまったようですので、私が家に連れて帰ります」
なんてことを云うんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 459人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
待って、よく考え直して。スピンオフ作品とかありえないから。【文豪ストレイドッ... 【ONE PIECE】元日本人は、エースの兄貴になったらしい�Α效房隋� 【REBORN!】大空の王の逆行物語IVもっと見る
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さにー☆彡(プロフ) - やっさんさん» やばいです← 私の文スト作品は大体やばいです← 続編もよろしくお願いします← (2019年2月27日 22時) (
レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
やっさん - 最初から、一気に読みました。最初は、爆笑ラブラブ？展開のはずが、なんかとってもヤバそうな話に滝汗。引き続き、続編を読んでみます汗。 (2019年2月27日 22時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 彼方さん» テストが終わったのでもうすぐ作ります笑 (2018年9月6日 18時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - とっても面白いです。続篇まだですか？ (2018年9月6日 18時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - はちさん» ありがとうございます！！ もうすぐ続篇も書きますので、よろしくお願いします！ (2018年8月27日 21時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さにー☆彡
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時：2018年5月5日 19時
