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眠り姫を狙う１ ページ13

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神田side



Aちゃんの控室は別に取られてた。



ライブ中、Aちゃんは冷や汗かいて作り笑いしながらも、客席にはわからない完璧なパフォーマンスをして見せた。



袖に捌けた瞬間膝から崩れて、スタッフに運ばれてった。


大丈夫かな。

メンバーみんな心配。



一足先に支度を終わらせた俺は、Aちゃんの控室へ。


「Aちゃん？」


ドアをノックしても返事がなかったから、恐る恐る開けてみた。


―――寝てる。


頑張ったもんね。

しかもこのあと終電で東京に帰るっていう。

ハードスケジュールだな。

名古屋と東京の往復でも大変だろうに。


こそこそ控室に入った。

着替えてメイクも落として(すっぴん初めて見るや)。

出発まで寝かせておいてあげよう。


男だけの集団に、ポンと入ってきた女の人。

最初は怖くて、どうなることかと思ったけど。

Aちゃんと接しているうち、いろんなことがわかってきた。

口は悪いけど面倒見がよかったり、意外と可愛い面があったり。

Aちゃんのキャラクターに、みんながなつき始めた。


ソファに横になるAちゃんの傍らにしゃがむ。

こんなに近くでAちゃんの顔を見るの、初めてだ。

しかも、寝顔。

いつもメイクが濃いせいか、あどけなくて。


今この瞬間Aちゃんを独り占めしてるんだ。

いつもメンバーに囲まれてるAちゃんを。


手を伸ばして、頭に触れる。

起きてたら絶対許してくれない。

ガード固い。

寝込みを襲うなんて恋愛マスターにあるまじき行為だけど。


その場の勢いも大事だね。


Aちゃんに、顔を近づける。


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