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「ごめんね、急に呼び出して」
浮「Aのためならどこにでも飛んでく」
その言葉は嘘に聞こえなかった。
「だって、こんな時間に迷惑」
浮「そんなことないよ。
Aが誰でもない俺を頼ってくれたのが嬉しかった」
「…なんで浮所だったんだろ」
浮「…無意識に俺を求めてたんだよ」
「自分でも疑問。でも来てくれて嬉しい」
浮「…ん」
こんなに素直になれるのは、
うとうとしかけてるからかもしれない。
浮所に向かって手を伸ばす。
「握って」
浮所は一瞬目を見張って、わたしの手を取ってくれた。
浮「熱っ。A熱ない？」
「生理中だから体温上がってるのかも。嫌だったら離して」
浮「やなはずないじゃん。Aと手つなぐの初めてじゃない？」
「そうだっけ」
覚えてないな。
浮所とだったらある気もしたけど。
そっか、初めてか。
嬉しそうな顔しちゃって。
「遅いから泊まっていって」
浮「いいの？」
「ん。でもソファでもいいかな」
浮「全然いい」
「押し入れに薄手の毛布入ってるからさ。ほんとごめんね」
浮「謝らないで。
Aが俺を頼ってくれて、泊まらせてくれるなんて嬉しいよ。
そっちのが高く付く」
「…一緒に寝たいって思わないの？」
浮「そりゃあ思うけど。今のAに手ぇ出すつもりない」
「元気になったらちゅーしてあげなきゃ」
浮「あは、期待してる」
あー、完全に目ぇ閉じそう。
浮「寝ちゃっていいよ」
「ん…おやすみ」
浮「おやすみ」
送られる風と、浮所の手のぬくもりが心地よくて意識を手放す。
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作者名：わたあめなのは
| 作成日時：2022年8月23日 15時
