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作「他にも、そういう人はいるの?」
「えっ?なぁに、そういう人って」
笑い飛ばされた。
ふと合う視線。
テーブルに体を乗せて、俺を覗き込んでくる。
「作ちゃんもなる?」
作「…っ」
思わず身を退いた。
Aに取り込まれてしまうような気が、したから。
「冗談だよ」
笑いながら離れていく。
藤ヶ谷くんとはなにかが「ある」けど、
付き合ってるわけでは「ない」。
俺の知らないところで、Aになにが起こっているんだろう。
作「このこと、俺以外に誰か知ってる?」
「知らない。
さっき誰にも言うつもりないって作ちゃん言ってたよね」
俺の言葉を反芻しただけじゃない。
絶対に口外するなって脅迫のようにも聞こえた。
…Aのためにも、誰にも言っちゃいけない。
前にAが言ってた。
自分のこと、クズだって。
そのときは理解できなかったけど…
このことを言ってるんじゃないかって、今やっとわかった。
クズとまでは思えないけれど。
Aは俺らの知らない秘密を持っている。
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作者名:わたあめなのは | 作成日時:2022年8月23日 15時