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車が発車する。
瑞稀の運転する車って安心して目を閉じる。
瑞「疲れた?」
「あ、ごめん」
瑞「精神的な疲れ?」
「もあるけど。瑞稀がいてくれることに安心した」
瑞「懐かしいね。Aが学生だった頃、東大まで迎えに行ってたや」
「あのときも瑞稀に甘えてたなぁ。自立したくて別れたのに」
瑞「無理なんだよ。Aは甘え体質だから」
瑞稀の言うとおりだなぁ。
なにかあると甘えたくなって誰かを頼る悪い癖は、未だに治らない。
瑞「夕飯どうする?どっかで食ってく?」
「どっかで買って、瑞稀んちで食べたい」
瑞「そんでもいいよ」
「なに食べたい?奢る」
瑞「Aに奢らせるなんて」
「車代だと思って」
それにこれから、甘えさせてもらうんだから。
テイクアウトにした理由はね、今瑞稀以外の人と関わりたくなかったから。
2人きりになって甘えたい。
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瑞稀の家に着いた。
なにも言わず抱きついたわたしの頭を、ぽんぽんと叩いてくれた。
優しいなぁほんと。
こんな都合いい女相手にしてくれるなんてさ。
顔を上げたら瑞稀の顔が近くて、キスされた。
瑞「ほんとあのときに戻ったみたい」
たくさんキスしてなだめてくれたね。
瑞稀の柔らかい表情を見てると、戻りたくなっちゃうよ。
瑞稀と付き合ってた頃は、
瑞稀がいたから他の男にフラフラすることなんてなかった。
やっぱ彼氏の存在って大事。
「今日1日だけ戻ってみる?」
そうなったらもう、やることはひとつだ。
ボロボロになったわたしを、慰めて。
瑞稀の肌はあったかくて懐かしくて。
誰に抱かれるのとも違う、安心感があった。
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作者名:わたあめなのは | 作成日時:2022年8月23日 15時