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息が整い、安心し始めたのか、
彼女はゆっくりと力を抜いた。
死柄木に身を預ける。
「とむらくん、」
「ん」
頭を撫でる。
「ゆうくんは、」
問い掛ける彼女に、
ふわふわと幸福を感じていた死柄木の機嫌が、
急降下した。
機嫌のせいでまた彼女を傷付けないよう、
両手を彼女から離す。
「…死んだ」
死柄木の言葉に、じわ、と彼女の目から涙が出た。
「何か、言ってた？」
私聞こえてなかったの、
と彼女は苦しそうに言った。
『A。本当に好きだ、愛してる』
『赦してくれ』
『お前なら乗り越えられるよ』
彼女に付けた盗聴器からは、はっきりと優の声が聞こえていた。
「何も、聞いてない」
そう、と彼女は言った。
死柄木から離れ、シーツの上に膝を抱えて座る。
「あのね、とむらくん」
「なに、」
「私、とむらくんが、
思ってるような子じゃないみたい」
汚くて醜くて、と彼女は言った。
「ここにいる以上は、人を殺すこと、
たくさんあるんでしょ。でも、私には、それができない」
優の最期の望みだから。
だけどその約束は、敵連合である死柄木の側にいると、
意味が違ってくる。
非合法組織の中で、殺人ができない者。
自分の手は汚さないのに、死んでいく人達を見殺しにする者。
「じゃあ手が汚れている俺は汚いか？」
「ちがっ」
死柄木の問いに彼女は首を横に振った。
焦ったように言葉を探す彼女に、
死柄木は新鮮な面持ちで見ていた。
以前、死柄木の前にいた彼女は、
いつも微笑んで、寂しそうだった。
どちらかと言うと笑顔以外の表情が欠けている。
目の前にいる今の彼女は、焦り、泣く。
人間らしい一面、新しい彼女の部分が見えて、
嬉しさが喉をこみ上げて、触れたくなる。
自分の意見を上手く言えないように、
彼女はぎこちなく言葉を紡いだ。
「違うの、だってそれは、貴方の生き方だから、
わたしは否定したくないの」
彼女が、否定されるのを最も恐れているから。
自分は誰かを否定したりはしたくない。
彼女が身を抱えてシーツが捩れる。
拙く言葉を伝えようとする彼女に、
死柄木は手を伸ばした。
頬に触れようとして、しかし彼女は、その手を握って
指の一本一本に口付けた。
「っ、」
死柄木の指先が震えた。それを何ととったのか、
彼女は口付けた手を、ぎゅ、と握った。
愛しそうに頬を死柄木の手に当てる。
「私に触れる貴方の手が、だいすき」
彼女は初めて、
死柄木に愛を伝えた。
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maro(プロフ) - こういう弔くんの夢小説を探していたんです......!!!見事にどっぷりハマりました👍🏻 ̖́-︎続きを気長に待ってます！！ (4月12日 14時) (
レス) id: 89c84e5ca3 (このIDを非表示/違反報告)
もあ(プロフ) - すごい考えられた話で たまげました！とむとむのこうゆうお話あまり無いのですが、どストライクすぎて何回も読ませていただきました🥰お忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています！ (8月16日 20時) (レス) id: 595898a75e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - わぁぁ！めちゃくちゃ続き気になります！！夢中で読んでしまいました！笑続き待ってます！ (2022年7月13日 14時) (レス) @page44 id: da656baae2 (このIDを非表示/違反報告)
Yo - 読んでめっちゃドキドキしてました！！ゆっくりでいいので続き楽しみにしています(^^)更新頑張ってください！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page41 id: b7d6e0178a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - えぬえさん» 返信遅れて申し訳ないです…🙇♀️ここまで至るに随分時間がかかってしまい…亀更新なのに読んでくださり感謝しかないです…！コメントは力の源…！頑張ります💪 (2022年1月1日 1時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年9月17日 10時
