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死柄木side
無防備なことに、目の前の彼女はすっかり寝入った。
1ヶ月前は不安な様子で過ごしていた癖に、
順応が早すぎるところは相変わらずで、思わず笑みを零す。
彼女の記憶が無くなったのは、運が良かった。
事故が起きて、
目の前にいた子供を助けようとして敵の個性に当たった。
敵は捕まらず、個性は解けないまま。
可哀想に、俺に誘拐されて閉じ込められた。
でもしょうがない。
俺にあんな笑顔をむけて。
優しい言葉をかけた癖に。
ヒーロー側に居たのだから。
それを知った時、焦燥感と言いようのない怒りで満たされたのを、よく覚えている。
暗い部屋に鈍い金属音がする。
彼女の脚は重々しい鎖で拘束されていた。
歩くのには不便な程では無いが、
走ることは出来ないくらいの長さ。
肌が赤くなり、あざが出来てるのを見るたび、
外そうかと思うが、
自分の腕の中から消えてしまうと思うと、
冷や汗が伝って止まらなかった。
思わず首を掻きむしる。
ガリ、と音がして皮膚が割れていく。
「………逃げんな……」
呪いの様に彼女の耳元に囁く。
ガリ、ガリ。
逃げるな。
逃げるな。
逃げたらまた閉じ込めて。
次はベッドに縛り付けて。
泣いても喚いても。
お前を離さない。帰さない。
どこにも行かせず、俺だけを知って。
俺だけを見て。
初めて出会った時に向けてくれた笑顔を。
その笑顔を。
俺以外の奴に見せないでくれ。
俺だけに。
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
「死柄木さん……」
「ッ…………！」
不安そうな声で正気に戻った。
首を掻きむしる手に細い指が添えられる。
「どうしたの、死柄木さん」
白くて細くて。太陽を1ヶ月も浴びてない彼女は、幽霊みたいだ。
俺はそれでも良かった。
お前がここに居るだけで。
「痛いよ、」
苦しそうな悲しそうな顔をして、
俺の手を優しく握る。
死柄木の手の薬指は包帯を巻いてて、
彼女が触っても壊れない様にしている。
ちゃんと包帯が巻かれていることを確認して、
小さな手を握り返した。
「俺、起、こし……」
彼女が逃げることを想像して、何故か声が震える。
それを何と捉えたのか、
彼女は死柄木の手を、ぎゅ、と握り直して微笑んだ。
「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ、死柄木さん」
死柄木の背中を優しく撫で、あやす様に何度も唱えた。
「私は此処にいるから」
嗚呼、此の笑顔だ。
俺が欲しくて、手に入れたかったもの。
誰が来ようと何を言おうと、
これは俺のものなのだ。
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華羅夢(プロフ) - ぽいぽいさん» 何ですって！！ぜひ死柄木くん推しになってくださいな！！彼は魅力的な男です！！コメント嬉しいですありがとうございます････！ (2021年9月19日 8時) (
レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - この作品で死柄木くん推しに傾きつつある…好きです応援してます頑張ってください!（ノンブレス） (2021年9月19日 7時) (レス) id: 1142a6ee8a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - れのまるさん» うわああありがとうございます･･････！コメントが1番のモチベになるのですごく嬉しいです！頑張りますね！ (2021年9月14日 14時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
れのまる - 死柄木さん最推しなのでこの作品めっちゃ好きです…！これからも応援してます！ (2021年9月14日 7時) (レス) id: ce403bbca4 (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - しいたけさん» しいたけさん、もしかしなくても2回目のコメントですか･････････？コメント来るのが1番嬉しいので、大喜びで話を書いてしまいました！楽しんで頂けて何よりです！！ありがとうございます！ (2021年9月11日 10時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年8月23日 1時
