5,差恥。 ページ7
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自室の風呂にぷかんと浮かんで、Aは鼻唄を歌っていた。
芥川への嫌がらせ案が出てきたから機嫌が良かったのだろう。
(おーっと、もうこんな時間だっ)
ざぱん、と音をたてて湯船から出る。
……Aは『自由』という言葉が大好きだ。
それ故に、A自身、全て自由である。
言動、性格、癖……数え出したらきりがない。
その中の1つ。
脱衣所である程度拭くと、Aは居間で着替えをする。
なんと無防備な__と一度だけ尾崎紅葉に言われた以来誰も口出ししなかったため、Aはさほど気にしていない。
さりとてAは、下着をつけ今日の寝巻きはどれにしようか、と悩んでいた。
クローゼットの中に顔を突っ込んでいると、規則正しいノックがAの部屋に響いた。
『…だれー?』
「僕だ、開けろ」
聞くだけで胸の奥がムカムカする。
Aには芥川が何故部屋に来ているのかさっぱり分からない。
『ダメ、用事あるなら後で』
しかしそこまで鈍感で鈍いAではない。
自分の容姿をしっかり理解した上で返事をした。
だが、芥川がAの部屋に用事があると来たときは毎回『ダメ』と言っている。
それを理解した上で、芥川は部屋のドアを開けてしまったのだ。
「…………これは貴様の私物だろう」
『え、…は………は?』
開けてから少し間があったものの、芥川は表情1つ変えず、Aにイヤホンと音楽プレイヤーを投げつけた。
そして、ガチャリとドアが閉まる。
Aは目を見開く。
(今センパイAと目合ったよな、……え?)
何故こんなに動揺しない自分がいるのかAは少し不思議に思ったが、こんな光景を見て動揺しない芥川も芥川だ。
『いや…アイツまじでぶっ殺す』
暴言と共に顔に熱が集まり、クラクラする。
手元にあったパジャマを素早く着ると、腹いせにベッドの柵を蹴った。
(いてぇ…)
後からくる痛みに耐えながらも、Aの怒り…そして少しの差恥をなだめる者はいなかった。
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芥川様LOVE - 芥川様可愛い好き作者様有難う御座います一生付いていきます (2019年11月16日 14時) (レス) id: 40c6fc2ce8 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわ とまと - 銀色ミカンさん» ありがとうございます!!新作もちまちま更新頑張っているので! (2016年12月1日 23時) (レス) id: ac53bb1069 (このIDを非表示/違反報告)
銀色ミカン - 笑いながら読みました。とまとさんの書く芥川かわいいです! (2016年12月1日 17時) (レス) id: 8b3f2e95f6 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわ とまと - あんこさん» 貴方とは話が合いそうですね((キリッ。ありがとうございます!!私はやつがれ小説製造気なので、また新しい作品作りました!ぜひ読んでみてください! (2016年11月29日 22時) (レス) id: ac53bb1069 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - うわあああああんめっちゃ可愛いですうううううう!!!私やつがれ大好きでほんとこんなやつがれちゃんも愛しい…!やつがれちゃんは神と言えるほどのガチ勢で御座います!← もうほんとうへへへって言いながら見てました可愛い無理…ありがとうございます… (2016年11月27日 6時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
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