29,武装探偵社員の苦悩。 ページ32
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ある日の昼下がり。
敦はヨコハマで国木田に頼まれた買い出しをしていた。
いつもなら太宰も同行するのだが、めずらしいことに太宰は風邪で寝込んでいた。
敦は1人で重いその荷物を持ち、探偵社へと足をひたすら動かしていた。
が、急に立ち止まる。
「っ……」
敦は息を飲んだ。
何故なら、数メートル先にあの宿敵、芥川がいたのだ。
ここで戦いが始まればとんでもないことになると、敦は思い来た道を引き返そうとした。
のだが…
「おい」
あの声が聞こえた。
いつ聞いても身震いのする、芥川の声が。
「……(こんな時にっ…)」
敦は恐る恐る振り替える。
と同時に手にあった荷物を落としてしまった。
「待ち合わせ時間から10分も遅刻している、自分勝手な奴め」
『似合う!?似合う!?』
敦は目の前の光景が信じられなく、目を見開いて見ていた。
「そのデザインからすると選んだのは中也さんだろう」
『ぴんぽーん、当たりー』
会話を聞く限り絶対に恋人同士である。
敦は動揺し、人違いかもと目をこするが、やはりそれはあの芥川だった。
『ほら、いこうノスケ!Aこの日の為に生きてたんだから!』
「生きていた目的が安いな。僕はAとこうして過ごす為に生きていたが」
『あーはいはい』
もうダメだ、直視出来ないし耳をもかたむけられない。
あそこだけムードが違う、花が舞ってる…。
敦は愛用の携帯を出すと、太宰に電話をした。
「敦君じゃあないか…。どうしたんだい…?」
気だるそうに応えていたので少し気の毒になったが、敦は唐突に言った。
「芥川に…………彼女が…います……。」
「………………」
数分の間、黙っていたように思える。
先に口を開いたのは太宰だった。
「私が……知らないとでも思ったかい?」
「し、知ってたんですかっ!?」
「だから寝込んでいるのだよ…」
敦は絶句した。
あの太宰が元部下に彼女が出来ただけでこんなに落ち込むとは。と。
「衝撃が強すぎて…だってあの芥川君だよ?あの冷酷無比な芥川君が…Aちゃんと…」
いろいろツッコミたいことが山々な敦だったが、強制的に通話を終了して探偵社へと走った。
そして次の日、中島敦は風邪で寝込んでしまうのである。
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ただ敦君が好きだからこんな話を書いたんです。後悔はしてない。
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芥川様LOVE - 芥川様可愛い好き作者様有難う御座います一生付いていきます (2019年11月16日 14時) (レス) id: 40c6fc2ce8 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわ とまと - 銀色ミカンさん» ありがとうございます!!新作もちまちま更新頑張っているので! (2016年12月1日 23時) (レス) id: ac53bb1069 (このIDを非表示/違反報告)
銀色ミカン - 笑いながら読みました。とまとさんの書く芥川かわいいです! (2016年12月1日 17時) (レス) id: 8b3f2e95f6 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわ とまと - あんこさん» 貴方とは話が合いそうですね((キリッ。ありがとうございます!!私はやつがれ小説製造気なので、また新しい作品作りました!ぜひ読んでみてください! (2016年11月29日 22時) (レス) id: ac53bb1069 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - うわあああああんめっちゃ可愛いですうううううう!!!私やつがれ大好きでほんとこんなやつがれちゃんも愛しい…!やつがれちゃんは神と言えるほどのガチ勢で御座います!← もうほんとうへへへって言いながら見てました可愛い無理…ありがとうございます… (2016年11月27日 6時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
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