並盛の土地神 (ページ10)

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10話ページ10

「桜の木……ですか？」
「うむ」

了平は大きく頷く。四人は木に登ったりして大きな桜を探すが、山なので今の季節、桜ならこの辺りにはたくさんある。その中から探すのは難しかった。

四人がかりで探しても、家らしきものは何一つ見つからない。

「おい！本当にこの辺りなのかよ！」

獄寺がついにキレてしまった。
しかしそれに負ける了平ではない。

「間違いない！絶対にこの辺りだ！」
「何で言い切れんだよ！」
「男の勘だ！」
「ああ！？」

それを聞いて三人はドッと疲れる。勘と言われて信じるものは少ないのではないだろうか。ましてや了平の勘はあまりあてにならない。

「極限に探せば必ずみつかる！」
「見つかる気がしないのは何故だろう……」

綱吉はどんどん不安になる。そこへ

「あの……先程から煩いのですが……」

どこからか現れたのは、赤い袴を着た茶髪のふぅ太と同い年位の少年だった。

「こんな所で何してんだ？迷子か？」

山本が少年に尋ねた。

「迷子ではありません。私はこの近くにある家に住み込みで働いている者です」

少年はその幼い姿に似合わない敬語でそう言った。

「この近くに家があるのか？」
「はいありますよ」

山本が少年に聞くと、少年は頷く。とても大きくて素晴らしい家だと少年は語る。

「おい！その家はどこだ！てか野球ばか！俺達は雲雀の家を探してたんだぞ！こいつが言ってる家がそうかもしれないのが何で分かんねぇんだ！！」
「ん？ああそういえばそうだったな」
「山本……」

山本の天然に綱吉はため息を吐いた。

しかしすぐに少年に向かう。

「えと……俺は沢田綱吉。君は？」
「私は鷹岡文仁です」
「文仁君ね。その家はどこにあるの？」
「教えません」

名前はあっさり教えてくれたのに家は教えないとはっきり言われた。

「ガキのくせに偉そうにしやがって！」
「まぁまぁ獄寺、相手は子供だぜ？」
「そうだぞタコヘッド！」
「てめーらは黙ってろ！」

綱吉はどうしようか悩む。ちっぽけな頭で悩んでも良いことなど浮かぶはずないと、綱吉自身は思ってしまう。