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遙希｢柚希、ちょっ、ほんとに寝ちゃったんだけど？｣
柚希｢あぁ、どうしよう…………｣
皐月｢どうしようじゃないし。俺がちゃんとおんぶして帰るし。｣
遙希｢そっか。お兄ちゃん連れて帰るか。偉いな。｣
俺は皐月の頭を撫でる。
おっと、しまった。手癖で………
遙希｢悪い。癖で撫でちまった。
それじゃ、お兄ちゃんをちゃんと連れて帰ってやれよ？
じゃあ、気をつけて帰れ。な？｣
皐月｢……… うん！｣
そう言って皐月は睦月をおぶりながら帰っていった。
柚希｢………… お兄ちゃんったらずるい。｣
遙希｢は？｣
柚希を見ると、何だか不服そうに頬を膨らませている。
おやおや、一体何に不満を抱いてるのやら、
…………… はっはーん。
遙希｢もしかして、容易くあの双子を手懐けたことに嫉妬してるのか？｣
核心を突かれたかのように顔を逸らす柚希。
そっか。あそこまで懐かせるのに、お前はきっと苦労したんだな。
遙希｢悪かったよ。
でも、お前も知ってるだろ？
昔から、俺は他人との距離を詰めるのが得意なんだ。｣
柚希｢分かってるよ。
………… ちょっと、困らせたかっただけ。｣
はは、全く……
俺はめいっぱいに柚希の頭をわしゃわしゃと撫でる。
柚希は、やめてと言いながらも
心底嬉しそうな顔をした。
あのブラコンが、十年も兄貴に会わないと
こんなにもデレデレになるんだな。
遙希｢じゃ、案内してもらおうか？
お前の家に。｣
そうして、俺達はふたり。手を握りながら、
柚希の家へと向かっていった。
＊＊＊＊＊＊＊＊
はぁ、気持ちよかった。
風呂はやっぱイイよなぁ…………
柚希｢ちょっ、お兄ちゃん！ちゃんと乾かさないとダメでしょ！｣
強引に腕を引かれ、ソファに座らされる。
そして、ドライヤーの熱風を当てられる。
あー、気持ちいいわァ………
柚希｢…………ねぇ、どうして帰ってきたの？
それも突然。何かあったの？｣
遙希｢特に何も。アッチで実力を付けて、才能も認められたから帰ってきた。
それ以外に、何の理由もないよ。｣
そう、何の意味もないんだ。
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作者名：アルビリオン | 作成日時：2017年7月11日 9時
