【ツイステ】無力な海の王子様【男主】 (ページ6)

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アズールのユニーク魔法は【黄金の契約書】。

署名をさせれば、その人の能力のひとつを奪える魔法。

奪った能力は自分のものとして自在に扱うことも出来る。

そんな人を相手に、いくら大人数が束になった所で、得意な魔法を奪われていれば力なき無力な人同然。

反撃は虚しく、皆奥へと連れていかれる。

すると、アズールはようやく私の存在に気がついたようだった。

しかし、アズールは私に何も語らず、何も弁明もせず、その場に居たジャックさんとユウに、この場から立ち去るように言った。

………… 私には、何の言葉もかけてくれなかった。

その瞬間、私の中で、何かが壊れた音がした。

ユウとジャックさんが一旦引き下がった後、アズールは私に見向きもせずに奥へと消えていった。

…………………… 嗚呼、【嘘吐き】。

私は、その場から逃げるように走った。

**********

私は、ただひたすらに走り続けた。

何も考えたくない。

どうして、あんな事をしてしまったの？

そんな卑劣な手で人手をかき集めるほど、そのカフェの運営が必要なの？

何故、私に何も言ってくれないの？

気が付くと、誰も居ない廃墟で、一人立ち尽くしていた。

嗚呼、また何も出来ずに、無力な自分を嘆くことしか出来ないのか。

そんな事を考えていると、頭にふわりと、何かが乗せられる感覚がした。

そして、その後すぐに、私の身体を優しく包み込んでくれる腕。

マレウス「………… 嗚呼、僕の愛しい人。

ここひと月ほどはとても楽しそうに笑っていたのに、どうして今はそんなに悲しい顔をしているんだい？」

その優しい声に、自然と涙が溢れてくる。

マレウス「………… どうして、涙を流している？

君を苦しませるのは、一体どこの誰だ？」

少し低く響いたその声に、私は答えることが出来なかった。

だって、私を苦しめているのは、私の大切な人だから。