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ふと気が付くと、俺はどうやら意識を手放していたらしい。
もう既に日が昇り始めていた。
アレシーフェでは無く、アーシェングロットとして生きる、最初の日。
まだ朝食には早いな。
そう思いながらアズールの腕からすり抜け、アズールの制服を用意してやる。
その時、ふと鏡に自分の姿が映る。
そう言えば、死ぬほど髪が長ぇな。鬱陶しい。
俺は、取り敢えず刃物を探す。
だが、髪を切れそうな刃物は見当たらない。
仕方ねぇ、魔法で切るか。
俺は一瞬で鋭利な風魔法を発動させ、長い髪を切り裂く。
あとは器用に細かい部分をちょちょいと整えれば、鬱陶しい髪が無くなり、割とサッパリした髪型になる。
………… そう言えば、髪を切るのは久しぶりだったな。
俺は、大昔に陸に憧れたお姫様に髪の色や瞳の色がそっくりだったらしい。
そのせいもあってか、俺を崇める信者が増えたりもした。
あの人は、そんな奴らからも金を巻き上げるために、俺をそのお姫様に準えた姿にするべく、髪を切る事を禁じた。
それに、俺、アズールと似て顔がいいから。
あの人の目論見通り、王族ヒエラルキー最下層だったアレシーフェ家は、無駄に勢力をつけていった。
だから、髪をこんなに短くするのは初めてなんだ。
髪が長ぇから女に間違えられてたわけだし、もうそんな事起きねぇだろ。
あ、でも、長い方が良かったとか言われたら、ちょっとショックかもしれねぇなぁ。
まあ、アズールに嫌われなけりゃ何でもいいや。
っと、そろそろ起こしてやるか。
ベッドの上で気持ち良さそうに寝ているアズールの身体を揺さぶる。
フィリウス「アズール、早く起きろ。朝飯食えなくなるぞ。」
そう言うと、アズールはまだ眠そうな愛らしい声を漏らしながら、ゆっくりと起き上がる。
アズール「………… おはよう、フィリウス。
今日から、よろしくお願いしますね。」
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年6月7日 12時