弐拾漆 ページ28
しのぶ「ずるいわ禰豆子さん!!
私も熾勇君にあーんさせて下さい!!」
そう言って、勢いよく中に入ってくる。
また面倒な。禰豆子との時間を邪魔しないで欲しい。
熾勇「カナヲ。君の師範、どうにかしてくれないかな?
それに、一応僕は怪我人なんだけど?」
すると、扉からゆっくりとカナヲが入ってくる。
カナヲ「………… ごめんなさい。一応止めたんだけど、」
全く、止めてこれかい?
カナヲは胡蝶様が絡むと意志が弱いなぁ。
しのぶ「さあ、私の手からも食べてください!
美味しいですよ?はい、あーんっ」
そうして満面の笑みで僕の口元にご飯を運ぶ胡蝶様。
………… 僕は、仕方なくそれを、心底嫌そうな顔をしながら食べた。
胡蝶様はとても驚きながら、でも、凄く嬉しそうな顔でまたご飯を運ぶ。
熾勇「………… 胡蝶様、【義勇様】は何方に居らっしゃるのです?
あの御方は頭に血が上りすぎると奇行に走ります。」
すると、胡蝶様は少し目を開いた後、僕から目を逸らした。
……………… 成程、もう手遅れ、という事ですね。
まあ、どうせ童磨に会ったところで今の兄様に勝ち目はない。
ボロボロにやられて瀕死になるのが落ちだ。
そうして、そうなったら【あの人】が兄様を助けに行くんだ。
【あの人】も、心配症なくせに【僕なんかを創って】態々遠くから見守るなんて。
難儀な人だ。
……………… それに、兄様には聞きたいことが沢山ある。
すぐに頭に血が上り、判断を誤るのはいい加減悪い癖として認識して頂かないと。
……………… 何なら、【あの人】に説教でもしてもらおうか。
いや、それでは僕の気が収まらないか。
僕に寄り添う事より、仇を打つことを選んでしまった哀れな兄様に一言言うまでは。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時