33 ページ33
『ミンハオどうしたの、ここ女性物しかないよ』
「知ってる」
そう言いながらミンハオはさっきの黒のMA-1をハンガーから取って、私にずいっと押し付けてきた。
「着るだけなら、無料だ」
……着るだけなら、無料。
先程抑え込んでいたワクワクが一斉に戻ってきてミンハオに鞄を預けてMA-1を羽織る。
少しぶかぶかしていて、でもそれが可愛い。
これにスキニーを履いたら……
「これにスキニー履いたらもっといいんだろうな」
『え？』
私が思ったことをそのままミンハオは代弁したかのように言った。
そして値札を見て「高いな……」と小さく呟いた。
「やっぱりお前、そういう方が似合うよ」
貸せ、と言ってMA-1をハンガーに戻してさっさと店から出るミンハオ。
恥ずかしかったのか、羽織る時に預けていた私のカバンまで持って出て行ってしまった。
あのカバン、ピンクのエナメル地なのに。
なんだか先程までイライラしていたのが馬鹿らしくなってきた。
せっかく2人でショッピングモールまで来たのだ。年末年始は会えないのだから、楽しもう。
『ミンハオ！』
「なに」
『カバン！』
「え……あ、ああ……」
ミンハオがカバンを返そうとしてきた手を掴み、引っ張る。
「おい！ちょっと待て！引っ張るな！」
『さあさあ行きますよミンハオさん！』
「誰だよそのキャラ……」
楽しい。
自分の意見を言い合える人との買い物ってこんなに楽しいんだ。
ジスくんとジスくんのお母さんへの誕生日プレゼントを買いに行った時はジスくんの好みに合わせてアクセサリーとか雑貨を選んだ。ジスくんと一緒に居れると言うだけで幸せだったからそれも楽しかった。
でも、今の楽しさは今までの楽しさとは何かが違う。
趣味も意見も違うからこそ、2人の好みが合致した時の面白さは尋常じゃない。
ジスくんへのプレゼントだって言ってたのに、時々へんなおもちゃとかやけに触り心地の良いタオルとかに脱線しちゃったりもしたけど、それも含めて楽しい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1374人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るちこ(プロフ) - ああああああああハオちゃんんんんんんんんんちゃんんんんんんんんん (11月10日 4時) (
レス) @page46 id: c87158ddcc (このIDを非表示/違反報告)
ゆずちゃ(プロフ) - え、最高すぎないんか、ほんとてんさい、はあ、もう余韻が、ありがとうございます。 (6月17日 23時) (レス) @page46 id: 431dcc5ea7 (このIDを非表示/違反報告)
ここここ(プロフ) - 伏線回収やばすぎて鳥肌でした…一気読みしてしまいました…楽しすぎました…主最高ですありがとうございました (5月21日 13時) (レス) @page46 id: 4b95013bd6 (このIDを非表示/違反報告)
〇〇(プロフ) - こんなに素晴らしい物語は初めてだ！！ (2022年10月17日 20時) (レス) @page46 id: dc7d3a4bc1 (このIDを非表示/違反報告)
ぢゃぬん - ハオが‥純愛すぎて‥文字だけなのにむっちゃ照れました‥！神です‥ (2022年9月25日 22時) (レス) @page46 id: 6ab475b0f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sumi
| 作成日時：2018年3月10日 0時
