【D！】最後の晩餐【合作企画】 (ページ10)

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黒に染る③（gr）ページ10

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　何やら悶々と考え頭を抱えるペットを見つめる。一人百面相している姿は実に愉快だ。

　このペットは、親が裏で作った借金を返す為に売られた。まあ、その親は死んだのだが、売られたことに変わりはない。そしてそれを俺が買ったという事実もだ。それに俺が買わなければ、親を殺した連中かはたまたどっかのド変態に買われて家畜以下の生活を送っていただろう。

　何も買った理由は慈善活動なんかじゃない。面白そうだと俺の霊感が囁いたからだ。だがこの目で見て、話して、俺の霊感は当たっていたと直感した。

　辺りが白銀に覆われた公園の中で、ペットだけが色を持っていた。
　日本人らしい黒髪黒目。仲間にも同じ奴がいるのに、何故かペットの持つ黒は別の色のように思えた。
　凡庸であるはずの黒色の瞳が俺を映した時、背中に電流が走るような感覚がした。それは一目惚れと似たような感覚だった。

　ペットに恋愛感情は抱く趣味は無いが、このペットを欲しいと感じるくらいには一目で気に入った。いわゆる衝動買いみたいなものだ。
　このペットは抵抗するでも通報するでもなく、俺が差し伸べた手を取った。

　黒の革手袋の上に乗る日焼けの知らなそうな白い手は、指先は寒さで赤くなり微かに震えている。凍えて悴む手で、飼い主の手を離さぬようしっかりと掴むその様は、まるで仔猫の様で思わず笑みがこぼれた。

　車は住宅街を抜けて段々とビル街に進んで行く。もうすぐで着く我々の拠点には、俺の愉快な仲間たちが俺のペットを早く見たいと騒いでいることだろう。
　彼奴らとペットが一体どんな化学反応を起こして、どれだけ俺を愉しませてくれるか。想像するだけで心が躍る。

　高層ビルの中でも一際大きい超高層ビルの入口付近に着いた。ペットは呆然としたまま、車内からビルを眺めている。

「何を惚けてるんだ、早く降りろ」
「は、はい」

　惚けているペットの手を取り、エントランスに進んで行く。キョロキョロと辺りを見回すが、興味三割警戒七割といったところか。本当に、まるで初めて家に来た仔猫のようだ。

　エレベーターを使い上へと昇る。ペットはまだソワソワとしているが、漸く落ち着いてきたらしい。

「ペット、は呼びづらいから…………A。お前の名前はAだ」

　名前が決まると同時に目的の階に到着し、扉がゆっくりと開かれる。

「ようこそA。我々の国(拠点)へ」

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