怪物の夢を見る�ァ�zm） ページ35
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酸欠の頭がとにかく酸素を吸い込めと命令されるがままに、懸命に呼吸をしてする。ゾムはそれを見て、満足げに笑ってみせた。
まるで恋人同士のソレを錯覚してしまいそうになる。現実は決してそんな甘いものではないのに。それを証明するかのように女の金切り声が耳に届く。
「ふざけないでよ！！」
あの子が、今まで見た事ないほど顔を赤くさせ、恨み言を叫ぶ。私の今の状況が気にくわないとでも言うように。
「私は！こんなに酷い目にあったのに！アンタだけ怪我もしなくて、男と楽しく抱き合いやがって！アンタが、アンタが他の子の代わりに死ねばよかったのよ！」
彼女は何を言ってるのだろう。楽しく抱き合ってる？そんな訳ないだろう。私は処女だったんだ。何が悲しくて、この殺人鬼に散らされなければならなかったのか。いったいどれだけ私が泣いたと思っているの。目の前で見ていたじゃないか。貴女が助けてって言ったから、私はこの身をあの怪物に差し出したのに……。
あの子に対して苛立ちが募る。でも、それでも、今はあの子だけが私の……──。
「はぁ……うるっさ……」
喚く彼女に、彼は煩わしそうにそう言うと何かを掴み、投げた。サクッと、軽い音がなったのではと、錯覚するほど彼女の額に深々とナイフが刺さっていた。
「あっ……」
一言声をあげたかと思うと、彼女はそれっきり言葉を発する事なく、先程まで増悪に染まってギラギラとしていた瞳は、何も映す事のない曇りガラスのように、光を失っていった。
「ぁ……あぁ……！」
彼女の姿から目を離せない。さっきまで確かに生きていたのに……。殺さないって約束したのに……！
激情にかられて、目の前の男の頬を打とうと手を振り上げたが、容易く掴まれてしまう。
少し前までなら、殺されるのではと震えていたはずなのに、今はそんな簡単な事が頭に浮かばなかった。
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作者名：最後の晩餐参加者各位
x他1人 | 作成日時：2020年11月23日 20時
