【D！】最後の晩餐【合作企画】 (ページ33)

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怪物の夢を見る③（zm）ページ33

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僅かな動揺により、足がコツとクローゼットのドアにぶつかる。次の瞬間、クローゼットのドアが勢いよく開かれたのと同時に胸ぐらを鷲掴まれ、床に投げつけられた。

「いっ、つ……！！」
「あーあ、そのまま静かに隠れてたら助かってたかもしれんのにアホな奴やな～」

知らない男の声に、恐る恐る顔を上げる。目に入ったのは服や仮面に返り血がたくさんついたまるで怪物のような男。その両手には、血塗れの鉈と髪を掴まれた彼女の姿があった。

「うーん？」

殺人鬼は首を傾げながら、観察するように私を見る。しばらく考えるような仕草を見せたかと思えば、あの子をぞんざいに手離し、私の方へと近寄って来る。

「ぁ、……ゃだ……」

殺人鬼から少しでも離れようとするが、すっかり腰が抜けてしまった私がまともに逃げれる訳もなく、すぐに殺人鬼に馬乗りされる形で捕まった。股がった殺人鬼は、ジロジロと私を凝視したかと思うと、私にとって残酷な提案を口にする。

「なぁ、あんた俺の相手してくれん？」
「は、」

気の抜けた声が漏れる。
それぐらい殺人鬼が言い出した内容が唐突だったのだ。

「相手してくれんのやったら、そこにいるオトモダチの命はないけど？」
「な、なに言って……」

脅しているのか、この男は。
友の命と自分の貞操を天秤に賭けろと、そう言っているのか。

その事にあの子も気付いたのか、まともに動けない身体を懸命に起こしながら、私に訴えかける。

「お願い……っ！お願い助けて、A！お願いよ……！」
「ぁ……」

憧れているあの子に助けを請われている。殺人鬼への恐怖に混ざって、あの子を助けたいという使命感、この状況下で頼られているという優越感が私の中で渦巻く。

色んな感情を覚えた所で、今この男の提案を蹴れば迎える結末なんてたかが知れている。これは選択肢のない提案なのだ。

だから、私の答えは一つしか許されていない。

「……わか……、りました……」

絞り出すように了承の返事をした。殺人鬼の顔を見れば、仮面から覗く妖しく光る緑色が愉しげに細められた事に、恐怖で顔がひきつった。

仮面でくぐもった声は、しかし私の耳にしっかり届いた。

「まぁ、せっかくなんやし……あんたも楽しもうぜ」

本当の、地獄のような悪夢が始まる合図だった。

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