怪物の夢を見る� �zm） ページ31
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揺さぶられる身体。もう何も働かない頭。瞳に映るのは、少し遠くで這いつくばり、増悪のこもった目で此方を見ている友人の女性。
おかしいな。私が今こうなってるのは貴女の
……どうして、こうなってしまったのだろう。
───────────
学生時代の思い出としてコテージに泊まろう。そう言い出したのは誰だったか。そんな些細な事を思い出せないぐらい、みんな乗り気だった。そう、心から楽しんでいたのだ。いつか社会人になってみんなと集まったらこの時の事を面白可笑しく話すのだろうと、誰もが思っていた。
雲行きがおかしくなったのは、ラジオのニュースが流れてからだ。
とある山で猟奇殺人が起きた。
これだけなら「そんな事があったんだ。怖いね」と、他人事のように会話のネタになって終わっていた。けれど、実際は私を含め何人かは顔から血の気が引いた。それは『とある山』が私達のいるコテージが建っている山と同じの名前だったからだ。
「ねぇ、今のってこの山の事だよね？」
「どうしよ……。今からでも帰った方が……」
「何言ってんの！？もう外は真っ暗だから危険に決まってるでしょ！！」
「でも、ここにいて、殺人鬼が来ちゃったら……！」
「大丈夫よ」
私を含め、友人達とこれからどうするか話していると、背後から凛とした声がかかる。自然と私達の視線は、その子に集まった。
その子は私達のグループのリーダー的な存在だった。
「大丈夫。もし殺人鬼が『ここに来ても』この山は結構広いんだから、なんとかなるわよ。もう夜遅いし、明日の朝早く帰ればいいもの」
まさに鶴の一声だった。
彼女にそう言われるとなんだか本当に大丈夫なんだって思えて、他の友人達も先程の騒ぎようが嘘のように落ち着きを見せていた。
こういうのをカリスマって言うのだろうか。
気付けば私はその子に尊敬の眼差しを向けていた。
早く帰るのならば、もう寝た方がいい。そう結論が出て、各々部屋に向かい、少しの不安と恐怖を抱きながら眠りについたのだった。
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作者名：最後の晩餐参加者各位
x他1人 | 作成日時：2020年11月23日 20時
