手綱を手放したその末路�ぁ�zm） ページ4
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周りの視線から隠れるようにして待ち合わせのホテルに向かう。いつもなら制服で向かうが、今朝のことがあったのだ、一端家に帰ってから地味な服に着替えてきた。
「あっ、あ！A、今日は、せ、制服やないんやね」
ホテルに着くといつもと違う格好をしているのにゾムは真っ先に私に気が付いて声を掛けてくる。会えるだけで嬉しいと態度で示すかのようにギュウギュウと抱きしめられる。
「Aから、会いたいって、い、言ってくれるの始めてやから、うれ、嬉しい」
「そうだっけ？ほら外寒いから早く中に入ろう」
「お、おん！」
そう言うとゾムはハグをする為に回していた腕をほどいて私の腕に手をまわす。上機嫌に鼻歌まで歌いそうなゾムを横目に見ながら周囲に視線を回すと時間が早いせいかホテルの前の通りには誰もいないことが確認できて一安心して自動扉を通り抜けてロビーに入った。
「な、なあ、A？」
「なぁに、ゾム」
「話って、なん、何の話なん？」
ロビーにおかれた機械で部屋を選びながらゾムが私に尋ねてくる。私は少し考えて。
「周りに聞かれたくないの。内緒のお話だから」と言うと。ゾムはそれ以上何も聞こうとはしなかった。
エレベーターに乗って暫くすると無機質な機械音とともに目的の階に止まる。
「おふろ、はい、はいらんの？」
部屋に入りベッドに腰掛けた私を見てゾムが戸惑うが、ゾムに目線で座るように促すと大人しく私と向かい合って座る。
私の目の前に座りジッと私の言葉を待つゾムの瞳を見ながら一言
「もう会えない」
短くそう告げた。
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作者名：最後の晩餐参加者各位
x他1人 | 作成日時：2020年11月23日 20時
