３つの仮面を被るひと�◆�ht） ページ26
.
靴下のまま飛び出してきてずっと走ってたから汚いな、靴下は穴が無数に空いていてところどころ血が出ている。確かにこの足じゃもう走れない、警察に見つかって私の人生が終わっていただろう。寧ろ感謝をするべき、なんだろうけど。
「ついたよ、鍵開けるからちょっと降りて」
『……痛、』
「しばらくは家でゆっくりしてればいいよ、足が治ったら好きにすればいい」
『…い、いいの？よく知らない女を家に上げて』
「いいよ、お姉さんの顔好きだし」
『彼女は？』
「居たら連れてこないだろ、ほら開いた。タオル持ってくるから玄関でちょっと待ってて」
玄関からパチ、パチ、と順に電気がついてこの部屋の雰囲気がわかる。片付いているというか物が少なく、隅に埃が溜まっている。これは仕事が忙しくてあまり家に帰ってきてないということだろうか。あの人とは違う……在宅ワークが出来るからとずっと私を監視していたあの男とは。
青年が戻ってきて濡れタオルを押し付けてきたので仕方なく座って靴下を脱ぐと、思っていたよりぐちゃぐちゃな足の裏に顔をしかめる。うわあ、と声が聞こえたが彼も私と同じ事を思ったんだろう。しばらく歩けないかもしれない、知らない街まで来たとはいえここで足止めされるのはまだ少し怖い。この偽善に塗れた青年と一緒にいるのも。
「とりあえず風呂に入って欲しい」
『…うん』
「部屋に上がる前にその○○○も脱いで」
『わかった。脱衣所…どこ？』
「いや、ここで」
ここで…？それは貴方の目の前で？目線で訴えても彼の顔は至って真剣で、下心が無いように見える。確かにこんなに汚れた服を部屋に持ち込まれたくないのもわかる、助けてくれた家主に逆らえないのも、長年の教育で私には染みついている。どうせあの物陰にいても同じことになっていたんだろう、相手が違うだけだ。すべてを諦めて私は○○○を脱ぎ、自分に似合わない際どい下着姿になった。
「……とりあえず、○○○は洗濯するから」
『捨ててもらってもいいよ、その方がありがたい』
「わ、かった……にしても、ひどい傷だ」
『……抱く気にもならないでしょ』
「ここはやけど？青あざもある、ここは切り傷…」
傷跡をなぞる指が、慈愛に満ちた眼差しがくすぐったくて口を閉ざした。
.
３つの仮面を被るひと��（ht）→←３つの仮面を被る人� �ht）
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 338人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：最後の晩餐参加者各位
x他1人 | 作成日時：2020年11月23日 20時
