黒に染る��（gr） ページ19
·
「……正確には俺らじゃなくて俺の部下やけど」
鬱はそう言って、カチリと煙草に火をつけた。
さて、ここで少し説明すると、Aの両親は犯罪に加担していたが、その犯罪の大元がグルッぺンの組織だったという話だ。
ただの気まぐれで生かしておいたが、飽きたという理由で殺されたのだ。グルッぺン達に借金を作っていたというのもあるが、それはあとから付けられた理由だ。
そしてこの事を、殺された両親の娘であるAには話していない。
「話す必要あるか？まあ、アイツが両親が死んだ事をきちんと自覚した頃に話すさ」
「自覚って……まあ、目の前で両親が死んだと思ったら自分は売られてて？しかも殺された理由が飽きたからとか。不運やねぇあの子」
「家族に依存するからやろ。家族はフィクション」
「それはシッマだけや」
軽口を叩き合う二人を後目に、ロシアンコーヒーを一口飲む。
「壊れたら壊れたまでやろ。ペットとして愛す事に変わりはないが、所詮ペットはペットだ。壊れるまでは世話するさ」
「グルちゃんらしい考え方やな」
「俺はもう寝る」そう言って、グルッぺンはバルコニーを出ようと踵を返す。しかしそこで、ふと思い出したように体を振り返らせた。
「壊れた時は譲ってやろうか？感度はいいゾ」
「あー……いや、遠慮しとくわ。誰かのお古って嫌やし」
「そうか」
鬱の返答にとくに何ら反応を示すでもなく、グルッぺンはスタスタと自室へと戻っていった。
「ある意味、グルちゃんに拾われて幸運なようで不幸なようで……」
「デロデロに甘やかして、相手に依存させるだけさせて飽きたらポイッ、やもんなぁグルッぺンは」
「優しくはされるんやから幸運ではあるか」
それきり、興味を無くしたように別の話題へと切り替わった。
いくら優しく接しようが、ペットであることに変わりはなく、また恋愛感情を抱くなど億が一にもない。
しかし、気に入ったペットには優しくするという世間一般的には当たり前の価値観を持ってるが故に、ペットとなった彼女の道の先には依存以外には有り得なかった。
しかし、人間とはいつしか飽きる生き物。グルッぺンは”気に入ったペット”に優しくはしても、”飽きたペット”に優しくするという価値観は持ち合わせてはいなかった。
「起きてたのか？」
「う"ん……」
「はは、声が枯れてるぞ」
「う"るざい」
「寝ておけ。明日はもっと酷いだろうからな」
「おやすみ、A」
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 338人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：最後の晩餐参加者各位
x他1人 | 作成日時：2020年11月23日 20時
