黒に染る�Α�gr） ページ13
·
グルッペンは、まるで赤子の肌にキスするようにAの唇に触れた。
じっ、と目を見開く彼女を見つめながら、鳥が木の実を啄むように彼女の唇を挟んだり、緩く吸ったりと弄ぶ。彼女は羞恥と緊張から、目を瞑って唇を固く引き結んでいる。
(顔を背けもせず、逃げもしない、か)
一切の抵抗をしないAに、支配欲と独占欲が満たされるのを感じながら、自分以外には抵抗するよう躾なくてはと新たな課題を立てた。
弄んでいた唇を離し、Aの唇に親指を当てて撫ぜる。そっと瞑っていた目を開けたAは、耳まで赤い顔を隠すように俯いた。しかし、彼は親指を当てている手で顎を持ち上げる。
「さっき俺がしたようにしてみろ」
「ぇ」
「大丈夫、上手く出来たらちゃんと褒めてやる」
戸惑い、恥ずかしがるも、Aはさっきの感触を頼りに、彼の親指を啄んだ。
拙くて、ぎこちないそれが、なんとも愛らしい。グルッペンはニヤける口を隠すように、口を手で覆いながら眺める。
ぎこちなさが薄れたのを頃合に、グルッペンは親指を離し流れるように唇を重ねた。
驚いて咄嗟に身を引こうとするAの腰を抱き寄せ、更に体を密着させる。何をさせたいのかを察したのか、彼女は、さっきの様に同じように彼の唇を啄んだ。
グルッペンはチラリと、目を瞑る彼女を見て、無防備に薄く開かれた唇の中に舌を滑り込ませる。
「っ！」
未知の感触に、彼女の肩はビクリと跳ねた。戸惑い混乱する彼女を無視して、グルッペンは彼女の舌と自分の舌を絡ませる。
上顎をなぞり、舌を絡ませ、時に吸う。緊張で固まっていた体も、今やグルッペンに体を預ける程に脱力している。口から漏れ出す息遣いは艶やかで色っぽい。
「鼻で息を吸え」
「ん、ふぅっ」
息苦しそうな彼女に、彼は教えながら口内を舌で貪る。次第に鼻で呼吸するのに慣れたのを感じて、グルッペンは後頭部に置いた手で、いい子だとでも言うように頭を撫でる。
「ふ、ん、同じように舌を絡ませろ」
「ぅ、んん、こ、こう？」
「は、ん、いい子だ」
また頭を撫でる。
執務室には、二人の唾液と舌が混ざり絡まり合う音と、口から漏れ出る吐息だけが響いていた。
トロリと溶けるような、甘さと熱を帯びた視線が交差し一つになり、そこでグルッペンは唇を離した。
まだ頭が呆然としている様子のAの頬を撫でて、グルッペンは触れるだけのキスを落とした。
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 338人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：最後の晩餐参加者各位
x他1人 | 作成日時：2020年11月23日 20時
