泥棒と泥棒未遂 ページ14
｢……昔の、話｣
ポツリとそう言うと、呟くように話し始めた
｢私の先祖は、ある宝石の力を借りて繁栄を遂げた。
莫大な富を得て、それを子孫に残すために
たくさんの財宝をある場所に隠した。
けどその宝石には呪いがあって
私の先祖から何か大切なものを奪ったの
これ以上呪いがかかっては困るからと
その宝石を他人に売った
これで呪いは終わりかと思いきや
その呪いは子孫にまで受け、今も解けずにいる
宝石も行方不明、どんなものかも分からない
分かっているのは、青い宝石ということだけ
私の父と母もその秘密を探ったけど
小さい時に死んじゃった
奪われたものを取り返したい
自分が自分でないようで、嫌なの｣
沈黙のなか次元は何を言おうか迷っていた
ルパン｢話は聞かせてもらったぜ｣
それを聞きなれた声が破った
次元｢ルパン！いつから……｣
｢ｯ……ルパン三世ｯ｣
ルパン｢あらら次元、こんなかわいこちゃんと毎日酒飲んでたのかよ｣
次元｢ﾁｯ、ほっとけ｣
ルパン｢ﾇﾌﾌ、そんでよお嬢ちゃん…俺らと契約しねぇか？｣
｢……組む気は無いわよ｣
ルパン｢あらら強気じゃないの｣
｢いい女じゃないの次元｣と軽口を叩くルパンにもう一度次元は舌打ちを打った
ルパン｢まぁ聞けよ、お嬢ちゃんが集める情報より俺らに入ってくる情報の方が間違いなく多いのはわかるよな？｣
女は無言で少し間を開けて頷く
ルパン｢青の宝石の情報はやる、だが盗みは俺らと一緒にだ。目当ての宝石ならお嬢ちゃんにやる、だが違った場合はそうだな……7:3でどうだ？｣
つまり、目当ての宝ではなければ3割の報酬がもらえる、すごくいい話だった
｢……いいの？｣
ルパン｢あぁもちろんだぜ｣
｢なら、お願いしたいわ｣
ルパン｢ﾑﾌﾌ、交渉成立だな｣
女の方にルパンは近づくと手を差し出した
ルパン｢俺の名はルパン三世、泥棒だ｣
女は差し出された手を握った
｢私は……｣
次元｢Aだ｣
｢え……｣
次元｢なんだ、違ぇのか｣
｢う、ううん…Aです、よろしく｣
手を離して次元のところへ歩み寄る
｢あの……こんな感じで、ごめんなさい｣
次元｢いや、いいんだ｣
次元はそう言って女の手を握った
次元｢次元大介、俺も泥棒だ｣
｢Aです、私はバーテンダーと泥棒未遂です｣
そう言うと3人で笑いあった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
