好きでいてもいいですか part3

好きになって欲しい ページ27

「…ごめんなさい…」






今すぐ撤回しろ！っという声が口から出てしまいそうな思いだった






岸「…なにか、俺に不満がありましたか？」




「…違います…」




首を横に振る





岸「…なにか、あなたを傷つけることをしましたか？」





「違いますっ…」




さらに強く振る




岸「あなたが思ってる人よりもっ、俺の方が幸せにできるっ！」





「っ…！」




どうして知ってるの、そんなこと言ってないのに





岸「煙草吸ってる人ですよね、見てればわかります。」



岸「どこにいても、煙草の香りがすればあなたは他に見向きもしないでその人を見る…」




岸「本当に好きなんです…っなんで…」




なんで。



そんなの私にもわからない




「嬉しかった…笑顔が素敵って言われて…」




呟いた言葉に岸さんは顔を上げた




「はじめてでした…こんなまっすぐ気持ち伝えてくれる人…」




岸「なら…っ」




「でも違うんですっ…」




嬉しいのに、何か違う。




「あの人に言われるのと、ぜんぜんっ…」


「岸さんより嘘つくしっ、不器用だしっ、デートなんて行けないし！！」




デパートやお家、カフェや海。




「キスなんてもっての外だしそれ以上だってっ！」




でも…でも

「でも、こんなの意味が無いんです…」




あの人との傷を埋めるために、他の人を好きになるなんて。こんなの意味が無い…




「好きな人に…好きになって欲しい……一緒にいたい…っ」




その言葉を言い終わる頃にはもう歯止めが聞かないほど涙が溢れていた





ふわっと、大人の香りが体を包んだ




岸「もういいです……」




頭をゆっくり撫でる手つきは優しかった




岸「今してるハグは、不可抗力にしてください」


すこし抱きしめる力が強くなった



岸「わかってたんです、誰か想う人がいるの…わかりやすいですもん」




岸「それでも、あなたが好きで…どうしようも無かったんです」





「っ…ごめんなさいっ…」




岸「好きな人の幸せは願いたいもんです。…でも」




顔を上げると、花を大切に扱うような眼差しでこちらを向いた





岸「俺も、好きな人が自分を好きになってほしいと…心から思います。」




やっぱり大人って難しい、私はこんなことできない





遠ざかるあなたの香り





岸「今、行ってみたらどうですか？」



「…いいんですか？」




岸「ちょっと涙腺が厳しそうなので、男のプライドです」



と言ってふわっと笑った

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