無惨様は確かに誰かに愛されていた。【鬼舞辻無惨】

名前を呼んで ページ4

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無惨、無惨、無惨。

心の中で何度も復唱する。言わなきゃ殺される。そう思え！

『無惨！』
「何だ。」
『呼んだだけ！』
「……煩わしい女だ。」

呼んだだけじゃん！何よその態度！

『ひっ酷いなぁ！何でそんなに無惨は口が悪いの？病んでるの？あ、病んでたわ！』
「殺されたいのか？」
『すみませんでした。』

未だに呼びなれないその名前、無惨。だってあの無惨様だよ！？あの無惨様が呼び捨てにしていい、とか。一瞬何言ってんのコイツってなったけど、そうだよね、私達友達だもんね。んへへ！

「気味の悪い女だ。」
『え！？いきなり酷い！』
「突然笑い出したりする女を、気味悪いと言わずに何と言う。」

…あ、心の中で笑ってたつもりなんだけどな。声に出てたか。

『ていうかさあ、無惨もさ、私の事名前で呼んでよ。その、女とか、そういう言い方は辞めてさ？』

だって友達でしょ？私達。そう言うと無惨は一瞬目を見開いた。あ、表情が変わった。へえ、珍しいなあ。


「そうだな、……ふむ。」
『うん、ほら、呼んで？』


「……A。」
『うん。』

これで良いのか？何て、何処か照れくさそうに言った無惨は何だか可愛かった。冷酷無慈悲の無惨、そう聞いたけど、普通に人間らしい人じゃない。

話している内に、どんどん惹き込まれていく。無惨にはそういう魅力がある。


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