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『 ・・・銀さん!?なんで・・・ 』
傘を差した銀さんが、こっちに向かって歩いてくる。なんで!?
「 なんでってお前、傘持って行ってなかったろ。女子力低いから折りたたみも持ってねェだろうし 」
一言余計だ。
ふと、掴まれている腕の力が弱まっていることに気付いた。
慌てて銀さんのもとに駆け寄る。
「 あ、ちょ・・・ 」
「 ・・・アイツ誰?彼氏?んなわけねェか 」
『 ・・・ 』
「 ゔッ 」
思いっきり肘打ちしてやった。ふんっ。
「 Aちゃんそれ誰・・・? 」
『 彼氏ですぅ〜 』
「 ちょ、おま・・・は!? 」
『 いいから黙って演技して 』
幸い、わたし達とイチノセさんには距離がある。
この会話は聞こえてないだろう。
「 か、彼氏か・・・、そっか 」
「 はい。そーなんすよ。チョーラブラブっす。なー? 」
おっそろしいほどの棒読み。
そして顔をのぞき込んでくる。近っ!
『 ちょっと近くないですかッ 』
「 ばっきゃろお前ェ最近のバカップルナメんなよ 」
『 いや何でバカップルチョイス? 』
「 公然でDキスとか始めだすからな 」
『 いやだから何で? 』
傍から見れば至近距離で見つめ合うバカップルだろう。
にしても会話の内容がカオスすぎる。
「 じゃ、邪魔しちゃ悪いから帰るね 」
『 あ、すいませ〜ん。お疲れ様です〜 』
もう店に来ないでね〜、なんて言えやしないけど。
たぶんあの人また来るだろうし。
『 さ、帰りましょ・・・ってそっか、傘ひとつしか無いんだ 』
少し前まではふたつあったのだ。
夏の大型台風のせいで、見るも無惨な姿にされてしまったけれど。
「 相合傘・・・ってやつ? 」
『 サムいです。てか迎えに来てくれる優しさなんて持ち合わせてたんですね 』
「 は?銀さん優しさの塊だろうが。
つか大丈夫だったか?腕 」
・・・見られてたか。
『 あぁ、まぁ大丈夫です 』
「 ・・・って震えてんじゃねェか。
大丈夫じゃねェだろうが 」
『 、うわ 』
銀さんに言われて気付く。ほんとだ震えてる。
「 まァ何となく察しはつくけどよ。怖かったんだろ 」
『 ・・・そうみたいです 』
ピンチのときに来てくれるなんてカッコ良すぎでしょ。
見た目悪役のくせにやることヒーローじゃん。
かぶき町じゃモテたのかな、なんて考えてはチクッと胸が痛んだ。
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まかろに - あ,ありがとう生前にこんな素敵な作品を読ませてくれて (2022年5月3日 23時) (レス) @page42 id: 96151534f5 (このIDを非表示/違反報告)
蘇羅蹤(プロフ) - 他の色々な作品と違い、キャラ崩壊が少なく面白いです!頑張ってください。 (2019年3月28日 12時) (レス) id: 7586ab9bf9 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - めっちゃ面白いです!ちょっと見ただけでどハマりしました!銀ちゃん可愛いぃぃぃぃ!!!続きが早く見たい!! (2018年1月19日 1時) (レス) id: 90a9ae15b2 (このIDを非表示/違反報告)
雛罌粟 - すっっっっごいこの作品大好きですっっっっ!!!!応援してます!頑張ってくださいっっ!!! (2018年1月13日 22時) (レス) id: ab7dcc8355 (このIDを非表示/違反報告)
セラ - この作品大大大大大好きです!!! 応援します!がんばれ! (2017年12月14日 6時) (レス) id: cf60114889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅぴこ | 作成日時:2017年10月6日 0時