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「 ちょっと、結構雨降ってたよ 」
『 嘘、傘もってきてないんだけど・・・ 』
土曜日の昼下がり。
土日の休み関係なく、わたしは働いている。
モール内を歩くお客さんがチラホラ、傘を持ち歩いているのは見えていた。
休憩に行っていた同僚が帰ってくるなり、その一言。
「 折りたたみ持ち歩くとかしてないの? 」
『 そんな女子力あると思う? 』
「 まぁないわな 」
自分で言っといてグサッときた。
そのまま同僚は、服をたたんだりお客さんの呼び込みに向かう。
わたしはレジで少し事務仕事。
銀さん迎えに来てくれないかな、なんて。
来てくれるわけがない。だって銀さんだもの。
『 いらっしゃいませー 』
もうびしょ濡れで帰るか、と諦めて、ちょうど来店したお客様に声をかけた。
『 ・・・だよね、止んでないよね〜・・・ 』
モールから出たわたしは、止まない雨に絶望していた。
『 んっとについてないわ今日・・・ 』
寝坊するわ、雨は降るわ、傘は忘れるわ。
帰り道死ぬんじゃないかなコレ。
最寄りのコンビニで傘を買おうにも、約300mはあるだろう。
そんなの、コンビニに辿り着くまでにびしょ濡れになってしまう。傘買う意味。
「 ・・・あれ、Aちゃん? 」
『 ・・・あ、イチノセさん・・・ 』
・・・なんつータイミング。
「 俺今から行こうと思ってたんだけど、もしかして帰り? 」
『 まぁ、そんなとこです 』
「 困ってそうだね。あ、傘忘れたとか? 」
あー、詰んだ。
『 ・・・お恥ずかしながら 』
「 なら送ってく。車乗ってきなよ 」
おっとこれは、言う事聞いちゃだめなやつだ。
『 いえいえそんな、お気遣いなく!
お客様ですし・・・ 』
「 いいって。俺気にしない 」
わたしがする!
なんて思っていたら、腕を掴まれた。
『 ・・・えっ、 』
「 何もしないから。
大丈夫だって、ほら行こう 」
やばいやばいやばいどうしよう。
何もしないってなんだよ当たり前だろ!
『 いやあの、ほんと大丈夫なんで!
・・・離してください、 』
だんだん尻すぼみになって最後は聞こえてたかわからないけれど。
「 ・・・なんて? 」
『 ちょっ、 』
グッと腕を引っ張られる。痛い。
一向に離してくれる気配はない。
どうしよう。
車になんか乗っちゃったら、相手の思うつぼだ。
そう考えていたとき。
「 ・・・A、? 」
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まかろに - あ,ありがとう生前にこんな素敵な作品を読ませてくれて (2022年5月3日 23時) (レス) @page42 id: 96151534f5 (このIDを非表示/違反報告)
蘇羅蹤(プロフ) - 他の色々な作品と違い、キャラ崩壊が少なく面白いです!頑張ってください。 (2019年3月28日 12時) (レス) id: 7586ab9bf9 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - めっちゃ面白いです!ちょっと見ただけでどハマりしました!銀ちゃん可愛いぃぃぃぃ!!!続きが早く見たい!! (2018年1月19日 1時) (レス) id: 90a9ae15b2 (このIDを非表示/違反報告)
雛罌粟 - すっっっっごいこの作品大好きですっっっっ!!!!応援してます!頑張ってくださいっっ!!! (2018年1月13日 22時) (レス) id: ab7dcc8355 (このIDを非表示/違反報告)
セラ - この作品大大大大大好きです!!! 応援します!がんばれ! (2017年12月14日 6時) (レス) id: cf60114889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅぴこ | 作成日時:2017年10月6日 0時