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帰り道、なんとなく昼間のお客さんにもらって、財布に仕舞いっぱなしだったメモを取り出す。
メールアドレス、電話番号、SNSのアカウントID。
『 ・・・追加した方がいいのかなぁ 』
一応、お客さんだし。
何気なしに裏側を見てみると “ イチノセ ” の文字。
『 ・・・あ、これ名前か 』
メモをもらった日は忙しくて、ろくに確認しないまま仕舞っちゃったから。
ふと顔をあげると、ちょうど目の前には自販機。
いちごミルクの缶がやたらと主張してくる気がするのは気のせいだろうか。
『 ・・・って買っちゃったよ 』
いやまぁ、彼は甘いものが好きだからいいんだけど。
ピンクの缶のそれを見つめながら家路を辿る。
『 ただいまー 』
不用心にも開いたままだった鍵。
まぁ彼がわたしを見送ったあと、わざわざ鍵をかけにくるなんて行為はしないか。
「 おかえり 」
なんだか、むず痒い。
『 これ、帰り道で偶然見つけて。好きですよね? 』
「 好きです!! 」
ソファにでろーんと寝転がっていたのに、いちごミルクの缶を見せた瞬間、床に正座した。犬か。
『 あ、でもご飯食べてからですよ。
ぱぱっとできるやつでいいですか? 』
「 ・・・わかった 」
『 あからさますぎません? 』
耳としっぽが垂れ下がっているように見え、今にもクゥーンと鳴きそうだ。
晩ご飯は簡単に、チャーハンとインスタントのスープでいいや。
『 てかお昼ご飯の洗い物してない! 』
「 めんどくせェ 」
『 ・・・ハァ、まぁいいや。さすがに洗濯は干してくれましたよね? 』
「 干した。つかお前下着ねずみ色はねェだろ 」
『 グレーって言ってくれません!? 』
デリカシーはどこに捨ててきたのか。
それにあの下着は、海外のモデルさんが着けてて一目惚れしたやつで、そんなに酷いモノではない。よってねずみ色とは言わない。断固としてグレーだ。
「 つか、照れねェんだな 」
『 今更というか、まぁ兄がいるので。
あ、お湯沸かしてスープ入れてもらっていいですか?そこにポットあるんで 』
お皿洗いしてないんだもん、スープくらい手伝ってもらっていいはずだ。お湯入れるだけだし。
「 おおすげェ。急須とか使わねェんだ 」
『 ・・・そこはちゃんと江戸なんだ 』
まるで新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいな表情の坂田さんに、思わず頬が緩んだ。
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まかろに - あ,ありがとう生前にこんな素敵な作品を読ませてくれて (2022年5月3日 23時) (レス) @page42 id: 96151534f5 (このIDを非表示/違反報告)
蘇羅蹤(プロフ) - 他の色々な作品と違い、キャラ崩壊が少なく面白いです!頑張ってください。 (2019年3月28日 12時) (レス) id: 7586ab9bf9 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - めっちゃ面白いです!ちょっと見ただけでどハマりしました!銀ちゃん可愛いぃぃぃぃ!!!続きが早く見たい!! (2018年1月19日 1時) (レス) id: 90a9ae15b2 (このIDを非表示/違反報告)
雛罌粟 - すっっっっごいこの作品大好きですっっっっ!!!!応援してます!頑張ってくださいっっ!!! (2018年1月13日 22時) (レス) id: ab7dcc8355 (このIDを非表示/違反報告)
セラ - この作品大大大大大好きです!!! 応援します!がんばれ! (2017年12月14日 6時) (レス) id: cf60114889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅぴこ | 作成日時:2017年10月6日 0時