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それこそ最初は若い子たちのノリとか、おじさんを揶揄ってるとか、そんなふうに思ってながしてたけど段々ノリでは収まりが効かなくなってきて本気なのかなって思ってきた時にはのんちゃんのいいところをたくさん知ってしまっていて──知れば知るほど、俺には勿体無くて。のんちゃんのしあわせな未来を想像した時にのんちゃんの隣で笑ってるのは俺じゃなくて綺麗で可愛らしい奥さんで。
「のんちゃんのこと考えたら、このまま手離して他人にもどったほうがのんちゃんのためなんやろうけど…智洋が……ちゃう、俺がのんちゃんおらな無理になってた」
「かっっっっっっわいすぎるやろ！！！！！」
「だぁー！うるさい！」
「えへへへ………淳太。さっきはいきなりすぎて覚えてへんから今度は俺からしてもええ？」
何を、なんて聞かなくても頬に伸ばされた手と熱のこもったのんちゃんのまっすぐな目に見つめられたら嫌でもわかる。返事の代わりにまぶたを伏せた。
「…あ、ごめん。パパたちお取り込み中やった」
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「ほんっまにありえへん…」
「お前らがうまくいったの半分は俺のおかげやろ」
「それはそうやけどぉー…」
カウンターに突っ伏して流星くんに文句をこぼしていたのんちゃんは泣いたり怒ったり感情のジェットコースターで疲れたのか気づいたら寝落ちしてた。
「淳太くん。こいつのこと宜しくお願いします。」
流星くんとバイバイしたくないと眠さも相まって盛大にぐずった智洋をだっこして、寝起きでぽやぽや足元が覚束ないのんちゃんを支えながら店を出ようと流星くんにのんちゃん共々お世話になったお礼を言ったら真剣な顔をした流星くんに深々と頭を下げられた。
「じゅーんたぁ」
「目覚めてきた？」
「うん。でもしあわせすぎてふわふわしてる…ああ〜夢みたいや…ん、え、あれ、夢やないよな…あれ…」
「うるさい。いいからひとりでちゃんと歩け！」
「いたっ！……あ、夢やない！！」
ひとりでアホみたいなこと言うてるのんちゃんにがっちりと智洋ごとホールドされて歩きづらいのに、たまにはこんなんもいいかもと思ってる俺も大概アホみたいやし浮かれてる。
「ただい…」
「待て！」
「わん…」
「……のんちゃん、おかえり」
「〜〜〜〜〜っ！ただいま！」
だって、そうやないとアパートに着いた途端に玄関で両手ひろげてこんな茶番ようやらんやろ。
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作者名：26 | 作成日時：2022年10月21日 0時
