兵庫水軍と犬夜叉異聞路続編

たたりもっけと小さな悪霊(3) ページ17

其れから暫くして、鬼蜘蛛丸達が少女の事を調べてきてくれた。

蜻蛉「まず、かごめちゃん達が見たって女の子はな、真由って名前らしい。去年の冬に、家の火事に巻き込まれて亡くなってる。さとると言う弟が居るんだが、その子は、火事があって以来ずっと医療所で目覚めないまま眠ったままなんだ。」

重「実はね、その火事が起きる前、真由ちゃんは、家の中に居たんだって。何でも、弟さんの事でお母さんと言い合いになったらしくて、お母さんが居ない間に、家の奥の空いたからびつの中に隠れてたらしいんだ。お母さんを心配させたかったんだろうね。でも…、」

鬼蜘蛛丸「その時、首に巻いていたマフラーを火鉢の直ぐ傍に掛けたままにしてたらしくてね、それに、薪から爆ぜた火花が飛び散って火事になったらしい。それに気付いたお母さんが、寝ていた弟さんを火事の中から助け出したんだけど、その時家に真由ちゃんが居ることにお母さんは気づかなかったらしくて…、真由ちゃんはそのまま火に巻かれて亡くなったそうだ。後になって、それを知ったお母さんは、酷く哀しんでいたそうだよ。」

義丸「もしかしたら、母さんに自分が見捨てられたとか思ってるのかもな。でなけりゃ、淋しくて意地を張ってるのか…。多分、死ぬ前の妄執に囚われてるんだな。可哀相に。」

かごめ「あの、さとる君が居る療養所を教えて下さい。真由ちゃんが居るかも知れないから。」

鬼蜘蛛丸「判った。案内するよ。義丸、来てくれ。」

3人は、療養所にやって来た。二階建ての瓦屋根の建物で、さとるは2階の奥の部屋に居ると言われ、部屋に入った。だが、其処にはさとるの姿が無い。

かごめ「えっ？さとる君は確か、意識が戻ってないって…。」

義丸「…ッ！お、おい二人とも！あれを見ろ！窓の外を！真由ちゃんが！」

何と、窓の外に、さとるが眠ったまま中に浮いており、直ぐ傍に真由が居る。憎しみに満ちた目でさとるを見ている。恐らく霊力でさとるを浮かべているのだ。

鬼蜘蛛丸「まさか、あの子さとる君を殺す気なのか！真由ちゃん、止めるんだ！その子は君の弟さんだろう！馬鹿な真似は止めるんだ！」

真由「あんた達はあの時の…！邪魔しないでって言ったはずよ！此奴が…、さとるが居るせいで、お母さんはあたしを見捨てた。あたしは要らない子なのよ！だからさとるを殺せば…！」

真由は、腕を振り上げてさとるを叩いた。その瞬間、さとるは落下する。

かごめ「駄目っ！止めなさい！」

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