兵庫水軍と犬夜叉異聞路続編

たたりもっけと小さな悪霊(2) ページ16

その夜、かごめ達は水軍館に戻った兵庫水軍の皆の元に向かった。

犬夜叉「それで、かごめに要件って何だよ。」

協栄丸「うん。ちょうどよかった。海岸の方に来てくれ。」

言われて、かごめ達は見張り台に上った。何故だか疾風だけは、「俺は死んでも行かないから！」と言うのだ。

かごめ「あら、あれは、…、昼間見た妖怪？」

海岸には、何やら小さな子供達が数人、昼間かごめ達が見掛けた妖怪の周りで歓声を上げて楽しそうに遊んでいる。空中に浮かんでいる子供もいるのだ。

義丸「お頭…、あのちび達まさか…、」

協栄丸「そうだ。この時期になると、たまに見掛ける。お前の考えてる通りだ。あの子達は幽霊だよ。戦や病で亡くなった。あの子達の傍にいるのは、たたりもっけと言う妖怪だ。」

鬼蜘蛛丸「たたりもっけ…？子供の霊に取り憑く妖怪なんですか？初めて見ました。でも、何故かごめさん達を？」

重「そうですよ。あの子達あんなに楽しそうにしてるじゃないですか。悪い妖怪には見えませんが？」

協栄丸「そうだ。たたりもっけは、子供の霊に出会うと、ああして成仏するまで、遊んでやる優しい妖怪なんだ。ただ、もう一つ役割があるんだ。かごめさん、あんたが鬼蜘蛛丸達と見たたたりもっけは、目がうっすらと開いていたって言っていたな。」

かごめが頷いたのを見て、協栄丸は続ける。

協栄丸「たたりもっけは、取り憑いている子供の霊が悪いことをするようになるとな、だんだんと目が開いていく。そして、その霊が悪霊になり掛かると、目が完全に開くんだ。そして、その子を地獄に連れて行くんだよ。其れがもう一つの役目なんだ。」

鬼蜘蛛丸「えっ？それじゃ、昼間見たあの子は、まさか。悪霊になり掛かってるって事ですか！だから…、」

かごめ「鬼蜘蛛丸さん、義丸さん、あたし…。」

犬夜叉「止めときなかごめ。お前のことだ。どうせ、その餓鬼の霊を助けようとか考えてんだろ。霊はな、妖怪みたいに簡単な奴等じゃねえ。下手に手を出したら怪我じゃ済まなくなるぜ。」

網問「でも…、子供が悪霊になり掛かるなんて、何か訳ありなんじゃ。地獄に堕ちちゃうなんて可哀相ですよ。」

義丸「訳ありなら、調べりゃ何か分かるかもな。餓鬼は大人と違って、自覚しないで暴走しちまうこともある。救えるならそうしてやらないと。かごめちゃん、俺らで、あの子のことを探ってみる。なんか判ったら知らせてやるから。」

かごめ「済みません。お願いします。」

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