《漆》 望むは金。

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『(…………かわいい、って言ってくれた、)』


よし、……よっしゃ〜っ、







表情にも仕草にも、別に出したりしないけど、ほんの少しの早起きが報われてちょっとだけ嬉しくなる。

顔を逸らしたままそんなことを考えていると、善逸くんの方から
「んﾞっッ！！！」と奇妙な声(？)が聞こえた。




「んな、……っっほんと、なんなのその音……！？」

『？？』

「〜〜ッ！ さ、最近可愛くなりすぎじゃない！！？ どうしちゃったの！！！？！？」

『………………。』





……最近？？

いつも、でもなく。
お洒落しているから今日は、でもなく。最近…？

なんだか納得いかない。
けど、善逸くんの口ぶりを見ると、少し前からそう思っていたような言い方である。

心臓のあたりを抑えて顔を真っ赤にしてる善逸くんに、ずいっと顔を近づける。




『……私は、もとから可愛いんだけど。』


「存じておりますぅ！！！ うわわ、ちかっ近いって、もぉ勘弁してぇええ……！」



あ、逃げた。

よくわからないけど、善逸くん的に 今日の私は可愛くて仕方ないらしい。
ふん。ちょっと気分良いかも。ふふん。

汗をかいてしまうくらい顔を真っ赤にして、善逸くんが私から逃げる。

見慣れた羽織がぐんぐん遠ざかって、あれ？ 私置いていかれちゃうの？ デートなのに？？ と思った頃には、
物凄い速さでまた目の前に戻ってきた。





『？？ 善逸くん、この距離でそんなに息切れちゃったの……？ 具合悪い？』


「九分九厘きみのせいだよね！！？！？！？？」





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