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正直、意外だと思った。
高校に入って初めて、拓弥に彼女ができた。
別に、人生で初めてってわけじゃない。中学時代からそれなりに交際はしていたけれど。
驚くべき点は、『拓弥の方から告白をして付き合い始めた』ということだ。
中学時代の彼といえば。相手の方に言い寄られて、まあそれなりに気になったら付き合ってみる。けど、あまりにも無愛想な彼に女の子の方が我慢出来なくなって、別れを告げる。その繰り返し。
結局は高嶺の花ってことだ。遠くから眺めているからこそ魅力的なものもあるんだと思う。
実際に卒業式の日、拓弥の学ランのボタンは袖についているものまで全て無くなっていた。
彼が選んだその女の子は、地味で目立たない、自己主張の少ない人で。
そもそも拓弥と彼女にどのような接点があったのかすら、見当がつかない。そのくらい、俺からしたら異次元の人。
でも、拓弥が彼女に向けるその眼差しは、明らかに俺が今までに見たものとは異なっていて。
ああ、本気なんだなあ。本当に好きなんだなあ。って、なんだか見ていて照れくさいほどだった。
「あ……あの、小笠原くん」
「ん？ ……拓弥？」
「ううん。小笠原くん」
教室の後ろの出口から、ちょいちょいと手招きをするAちゃん。
幸い、一番前の席にいる拓弥は彼女の登場に気づいてないみたい。
こっそり廊下に抜け出すと、彼女が差し出したのは失くしたと思っていた数学の参考書。
「自習室に忘れてたよ」
「うわ、まじか。ありがと」
「ふふ、どういたしまして」
偶然見つけただけなんだけどね。照れくさそうに笑った彼女が、自分の髪を触る。
そのまま、あっと口を開いて。
「昨日のことも」
「ん？ ああ」
「ありがとう、オガちゃん」
「ふっ……どういたしまして？」
ふにゃりと笑ったその顔は、確かにカワイイかもしれない。
なんて、拓弥には絶対言えないけれど。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
