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鏡の前で何度回転しただろうか。
「ねえ、変じゃない？」
「はいはい。十分かわいいよ」
呆れたようなその声に満足はしないけれど。
お父さんにも見せてあげたいくらい、そう言って微笑んだ母を信じることにした。
「いってきます」
「帰りの時間、連絡してね」
「うん」
「あ、あと」
下駄を履いた私に近づいたお母さん。
「たくやくん、連れて帰ってきてくれてもいいんだよ？」
「な……遅くなると、向こうにも迷惑でしょ？」
「ふふ、まあ確かにそうかあ」
「い、いってきます」
「はーい。あ、写真！写真くらいは撮ってきてよ！」
「も、もう、分かったから！」
玄関のドアを閉めれば、騒がしい母の声もようやく止んだ。
私の父は幼い頃に病死したらしい。記憶も無いくらいに昔のことだ。
母はそれ以来、女手一つで私を育ててくれた。
ひとり娘を孤独にさせないためだったのか、母は私を色々な場所へ連れていってくれた。やりたいことも満足にやらせてくれた。
だからこそ、余計に申し訳なさがあったのかもしれない。母が確実に無理をしているのは分かっていたから。
そして私は、我儘を言えないどうしようもない内気な性格になったのであろう。
そんな私が｢彼氏が出来た｣なんて言ったもんだから、母は大喜びだった。
どんな人？かっこいい？どこが好きなの？
ワイドショーの記者ばりの質問攻めをされ、興味津々なその顔を無視できるはずもなく。
母と話している時はいつも、まるで同世代の友人といるような感覚に陥る。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
