八十話 ページ34
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「Aおはよ!」
『ころんおはよ、一週間ぶりかな?』
あの日から一週間が経った。
また今日から新たに新学期が始まる。
後ろから走ってき、既にへとへとなころんに歩幅を合わせた。
「夏休み終わっても変化なしだね」
『そりゃあね。たったの一ヶ月あたりで大きく変われるほど日本は凄くないでしょ』
「日本のあほ!」
そんなに変化が良いのかな、と首を傾げる。
私は、このままで十分なのだけれど。
ころんといられるだけが、こうやって一緒に歩ける事が、幸せなのに。
…ころんは、今のままじゃ不満なのか。
「あ、でもいっこだけ変化ある」
『え、何?』
「A、ちょっとだけ前髪切ってる」
『えっ、分かるの!?』
やっぱり〜! ところんは小さな子供のように喜ぶ。
が、その一方で私は必死に前髪を両手で覆った。
最悪だ、最悪だ。
今朝前髪を切った際、少し切りすぎてしまったから。
母は気づかれない、と言ってくれたけど…気づかれるんじゃないか!
「え、何で隠すの!?」
『や、だって変だし!』
「えぇ〜!? そんなことない、似合ってるって! あなた可愛いんだから自信持ちなさいよ」
『え、』
「…あ、」
"可愛い"という単語に反応する私と、顔を真っ赤に染めて口元を抑えるころん。
可愛いだなんて、もう何度ところんに言ってもらった。
それでも、好きな人からの言葉はいつも特別で。
何度言われても、嬉しくなることに変わりはなかった。
『ふふ、ありがとう』
「どう、いたしまして……」
あ"〜、行こ! ところんに手を引かれる。
腕にころんの掌の体温が伝わってきた。
…もう、この人は何なの。
何でそんな簡単に異性の腕なんて掴めるの。
私の事好きなの? いや好きなら嬉しいけども。
『ねぇ、ころ…』
言いかけた言葉を飲み込む。
………なんだ、そっちも意識してるんじゃん。
目に映ったのは、真っ赤に染まったころんの耳。
Aは暑くない? と言いながらも、私の方を向いてはくれない。
掴まれていた腕を振り払い、わざところんの手に指を絡ませた。
素っ頓狂な声が耳に入る。自分から繋いだものの、急に込み上げてきた羞恥心に襲われ、ころんを見ることはできなかった。
『暑いね』
「…そうだね」
振り払わずにそのまま歩いてくれるから、少なからず嫌がられてはないみたい。
寧ろ、小さく握り返してくれた気がした。
…あれ、これ期待してもいい?
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あじゅき(プロフ) - ゆずたくあんさん» ゆずたくあんさんコメントありがとうございます!夢主ちゃん無事なんでしょうかね…? (2021年12月24日 10時) (レス) @page26 id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずたくあん - やだああぁぁぁあ()夢主ちゃん気になる…どうか無事であってくれ…! (2021年12月23日 20時) (レス) @page26 id: 2c620bbbe8 (このIDを非表示/違反報告)
そーだだお(プロフ) - 甘酸っぱい青春から一気にヤバイ状況に…この先どうなっちゃうんでしょうか… (2021年12月23日 19時) (レス) @page26 id: b62b3a7923 (このIDを非表示/違反報告)
あじゅき(プロフ) - 空白時さん» 空白時さん!!コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!!更新頑張ります! (2021年11月29日 14時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
空白時 - コメント私の作品に私の作品にありがとうございました^^あじゅきさんも更新頑張ってください! (2021年11月29日 12時) (レス) @page19 id: f150051e85 (このIDを非表示/違反報告)
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