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七十四話 ページ28

ころんside


ころん「、え、なんで、Aが…?」

『…ころん』


Aは顔を、ゆっくりと上げる。
その顔は、笑ってなくて。
寧ろ、顔を歪めて、目には涙を溜めていた。


『…なんで、もっと早く来てくれなかったの…? 私、そのせいで、あの男に……』


下に俯き、体をギュッと抱きしめるA。
ギリ、と歯を鳴らして、ガタガタと震え出すAに近づく。


ころん「A…」

『…私、貴方のせいで、こんなになっちゃったのよ…』



パッと顔を上げたAの顔は、もう原型を留めていなかった。



どろりと目が溶け、皮膚が爛れて、肉や骨が見えていた。口からごぶっ、と吹き出ていた血や泡がびちゃびちゃと床に飛び散る。
あ"あ"あ"、と低く呻き声を上げ、僕に飛び掛って来た



人とは思えないようなソレを、僕は思いっきり蹴りあげた。



ギャッ、と悲鳴を上げ、そのままカラカラと崩れ、骨だけの状態になった。



はぁ、はぁ、と呼吸が荒くなっていく。
違う、あれはAじゃない。
だって、Aはここにいる。


ころん「…A」


そっと手元にいるAに視線を移すと、そこにAはいなくて。
え、?
と声を漏らした瞬間、急に肩が重くなった。


ザワザワとした感触が体全体を襲い、鳥肌が立つ。
そして、



















『私"は"こ"こ"よ"』



















と、低い、低い声が耳元で囁かれた。
その瞬間、どろっとした何かが肩に落ちてくる。
肩に目をやると、それは血だった。


足元にはあ"あ"あ"、と叫びながら悲鳴を上げ、助けて、助けて、と求めてくる顔が浮かびあがる。
空からはカラカラカラ、と雨のように骨が落ちてきて、段々と耳鳴りがするほど、悲鳴が大きくなってくる。



そして










『ころんなんて、嫌い』









と、冷たいAの声が聞こえた。



















ころん「うわあぁぁああぁぁっ!!」


ガバッ、と勢いよく布団をどけ、起き上がる。


周りを見渡すと、そこはちゃんと僕の部屋。
荒い呼吸、汗だくになった額、心臓はど、ど、ど……と激しく打っていた。
目には涙が溜まっていて。



窓からはチチチ…と鳥の声が聞こえてようやく、今のは夢だったと分かった。



ころん「………はぁ、怖かった…」



見たくもない夢を見てしまった。
好きな子が他の男に襲われ、死んでしまう夢なんて、見たくもなかった。





なんだか嫌な予感がして、僕はそのままAの家に向かった。

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作品ジャンル:恋愛
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あじゅき(プロフ) - ゆずたくあんさん» ゆずたくあんさんコメントありがとうございます!夢主ちゃん無事なんでしょうかね…? (2021年12月24日 10時) (レス) @page26 id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずたくあん - やだああぁぁぁあ()夢主ちゃん気になる…どうか無事であってくれ…! (2021年12月23日 20時) (レス) @page26 id: 2c620bbbe8 (このIDを非表示/違反報告)
そーだだお(プロフ) - 甘酸っぱい青春から一気にヤバイ状況に…この先どうなっちゃうんでしょうか… (2021年12月23日 19時) (レス) @page26 id: b62b3a7923 (このIDを非表示/違反報告)
あじゅき(プロフ) - 空白時さん» 空白時さん!!コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!!更新頑張ります! (2021年11月29日 14時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
空白時 - コメント私の作品に私の作品にありがとうございました^^あじゅきさんも更新頑張ってください! (2021年11月29日 12時) (レス) @page19 id: f150051e85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あじゅき | 作者ホームページ:ない  
作成日時:2021年11月3日 6時

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