ミルクティー【青】 ２

五十話 ページ3

美奈side


昔からずっと「可愛い」って言われ続けた。
パパやママも私が可愛いから、何でも買ってくれるし、優しかった。


周りの人だって、私が横を通るたびに喜ばれた。
男子からの告白だって一ヶ月に5回くらいあったし、友達も沢山いた。Aはその中の一人で、一番仲が良かった。


Aは昔からずっと顔を気にしててイライラした事もあったけど、良い子で大好きだった。


私を置き去りにして引っ越すなんて言うから、仲間はずれにしたけどね。


Aは耐えきれなくなって先生に言ったみたいだけど、先生はAより私を気に入ってるのを知ってたから、怒られることはなかった。


やっぱり、"可愛い子"って得だと思う。
何をしても許されるし、信頼もすごいし。
私が好きだと言えば、みんな好きになる。


…だと思ってたのに。


私が学校から帰ってた時、またいつものようにナンパをされた。
すぐ断ろうと淡々と返事をしたのに、諦めが悪い奴で


ちょっとこれはやばい、と思い、逃げようとした瞬間に腕を掴まれた。


本当に怖くて。目頭が熱くなって、涙がじんわり浮かんでくる。


後ろを振り返れば、口を三日月のように吊り上げて不気味に笑う男の姿。


その姿は、信じられないくらい恐怖で。
顔から血の気が引いていくのがわかった。
私だけじゃどうする事もできない。
誰かに助けを求めるしか…！


美奈「っ、助けてっ！！」


私がそう叫んでも、通行人はみんな素通り。
本当、こういう時だけ使えない。
いつもはうざいくらいキャーキャー言ってついて来るくせに…！


「ほら、早くこっちに来いって！！」

美奈「やだっ、やめてっ、てば！！」


腕を引かれる力がだんだん強くなってくる。


あぁ、もうダメだ…
そう思った瞬間



ころん「え、何してるの」

「あ"ぁ"！？ 誰だよてめぇは！ ガキはすっこんでろ！！」


場の状況を理解できず困惑しつつも、その人は私を男から引き剥がしてくれた。


この制服…同じ学校、だな…


ころん「ほら、君は早く逃げて！」


そう言って、その人は私を逃がしてくれた。
私は怖くて自分の家まで走って帰った。
手も洗わず、自分の部屋に駆け込んで、布団に踞る。


美奈「…あの人、大丈夫なのかな…」


結構大柄な男だったし、殴られてないといいけど…
てか、すっごい顔タイプだったなー
可愛い顔だった…私より可愛いのかもしれない


…明日、学校に行ったらあの人を探そう。
それで、助けてもらったお礼するんだ。

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