六十二話 ページ15
ころんside
ころん「………」
暫くの間、ずっと沈黙が流れている。
Aは抱きついたっきり喋らなくなってしまった。
いや、気まづいなぁ…
その気まづさを紛らわせるために、僕はずっと打ち上がり続ける花火を眺めていた。
そういえば、まだ一番大きい花火は打ち上がってないな。
なんでも、すっこいカップルに人気らしい。
その花火を一緒に見たものとは、結ばれるとか…
いやいや、花火如きで結ばれたら、人生苦労しないって…
…本当なのかな…?
本当なら、Aと一緒に見たい。
俯いてるままだからね…
というか、こういうの信じるのって子供っぽいかな?
Aはこういうのって信じるのかな…?
どうなんだろ、ちょっとこれは本人に聞いてみようか
ころん「ね、A」
『………』
Aからの返答はない。
あれ、花火の音と被って声聞こえなかったかな…?
ころん「A?」
それでも返答はない。
おかしい、と思いAの顔を覗くと
ころん「…寝てる」
寝てました。
多分、泣き疲れたんだろうなぁ。
今日は、いっぱい泣いたもんね。
…せっかく、二人で楽しめるかと思ってたのにね。
一緒に屋台とか回りたかったなぁ…
Aが起きたら回ろうかな…?
『ん……ころん…』
起きた? のかと思いきや、それは寝言で。
え、僕の夢見てるの?
だとしたら最高じゃんか。
どんな夢見てるんだろ…?
『………イカ………チェンソー……捌く……』
ころん「………」
本当に、どんな夢を見てるんだろう…
イカ? チェンソー? え? イカを? チェンソー? 捌くの?
いやチェンソーでイカを捌くな。
デカすぎだろ。
使いずらいわ。
『ん……』
ころん「……っ…」
一瞬だけふにゃ、と柔らかく笑ったAを見て、
つい「あ、キスしたい」と思ってしまった。
…いやいや、流石にそれはダメでしょ、
そういうのは、ちゃんと本人と付き合ってからじゃないと…
…そう、心の中で決めたのに、体は正直で。
Aとの顔の距離は、徐々に近くなっていく。
Aの顔は、花火の光に照らされて、赤や青、黄色、いろんな色に淡く染っていた。
その姿は、本当に綺麗で。
そんなAを見て、僕の歯止めは効かなくなった。
いつもより熱がこもった顔。
暑いせいなのか、それとも緊張のせいなのか。
汗が額を静かに伝う。
そして
そっと静かに、Aと僕の唇を重ねた。
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あじゅき(プロフ) - ゆずたくあんさん» ゆずたくあんさんコメントありがとうございます!夢主ちゃん無事なんでしょうかね…? (2021年12月24日 10時) (レス) @page26 id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずたくあん - やだああぁぁぁあ()夢主ちゃん気になる…どうか無事であってくれ…! (2021年12月23日 20時) (レス) @page26 id: 2c620bbbe8 (このIDを非表示/違反報告)
そーだだお(プロフ) - 甘酸っぱい青春から一気にヤバイ状況に…この先どうなっちゃうんでしょうか… (2021年12月23日 19時) (レス) @page26 id: b62b3a7923 (このIDを非表示/違反報告)
あじゅき(プロフ) - 空白時さん» 空白時さん!!コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!!更新頑張ります! (2021年11月29日 14時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
空白時 - コメント私の作品に私の作品にありがとうございました^^あじゅきさんも更新頑張ってください! (2021年11月29日 12時) (レス) @page19 id: f150051e85 (このIDを非表示/違反報告)
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