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六十一話 ページ14

ころんside


『あの、もう離して…』


グッ、と服を掴まれる。
恥ずかしいのか、嫌なのか…
分からないけど、ちょっとそれは無理。


ごめんけど、もう少しこうしていたい。


再びAを力いっぱい抱き締めた。


『…! ころん…!』


少し抵抗するAを抱き締めたまま問う。


ころん「…嫌だった…?」

『っ! いや、そうじゃなくて…』


じゃあ良いよね。
勝手に自分の中で解決しようとした時


『……グスッ』


耳元で、弱々しい啜り泣く声が聞こえた。
え、待ってやっぱ嫌だった!?
咄嗟にAから離れる。


ころん「ごっ、ごめんっ! やっぱ嫌だっ…た…」


Aの顔を見て、硬直する。
Aは再び涙を流していたから。



『〜っ…グスッ……うっ…』

ころん「えっ、A!? そんな…嫌だった…?」

『違うっ…そうじゃないのっ…』


フルフルと横に首を振るA。
口元を抑えて、声を出さないよう押し殺している。


『久しぶりでっ…』

ころん「え…」

『私っ、…あんまり親に抱きしめてもらった記憶とか……なかった…からっ…嬉しくてっ……!』


ギュッ、と胸の奥が締め付けられるような感覚がした。
弱々しいAを見るのは、今日で何度目なのだろうか。


『あぁっ、もう…! 今日何回泣いてるんだろ…! ごめんねころん…!』

ころん「っ…」



Aは無理に笑顔を取り繕って、必死に涙を拭っている。



…一体彼女は、この十何年間、どのように過ごしてきたのだろう。
妹と比較され、親が離婚して、ヒステリックを起こす母を支えながら、自分の悩みを抱えて。



辛かっただろう、寂しかっただろう。



なのに、誰も寄り添ってくれる人はいなかったんだろう。ずっと独りだったんだろう。



……僕なら…僕なら、Aの傍にずっといる。
きっと、君の事を誰よりも理解できる。
…誰よりも君の事を愛せる。


ころん「A、おいで?」

『……えっ…』

ころん「いや、嫌ならいいんだけど!! …久しぶりなら、…もっと甘えてもいーよって…僕で良かったら…だけど…」



Aは顔を真っ赤に染めた、と思いきや、ふっ、と柔らかい笑顔になって。
その笑顔は、今度こそ偽りのない笑顔だった。



そして、Aは遠慮なく僕の胸に飛び込んできた。
瞬間、体全体に熱と汗がぶわっと集まるり、鼓動が再び速くなる。


え、待ってやばい。
これ良いの? 僕こんなに幸せに浸っても良いの?
幸せすぎて、ちょっと怖くなってきた…

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作品ジャンル:恋愛
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あじゅき(プロフ) - ゆずたくあんさん» ゆずたくあんさんコメントありがとうございます!夢主ちゃん無事なんでしょうかね…? (2021年12月24日 10時) (レス) @page26 id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
ゆずたくあん - やだああぁぁぁあ()夢主ちゃん気になる…どうか無事であってくれ…! (2021年12月23日 20時) (レス) @page26 id: 2c620bbbe8 (このIDを非表示/違反報告)
そーだだお(プロフ) - 甘酸っぱい青春から一気にヤバイ状況に…この先どうなっちゃうんでしょうか… (2021年12月23日 19時) (レス) @page26 id: b62b3a7923 (このIDを非表示/違反報告)
あじゅき(プロフ) - 空白時さん» 空白時さん!!コメントありがとうございます!すっごく嬉しいです!!更新頑張ります! (2021年11月29日 14時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
空白時 - コメント私の作品に私の作品にありがとうございました^^あじゅきさんも更新頑張ってください! (2021年11月29日 12時) (レス) @page19 id: f150051e85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あじゅき | 作者ホームページ:ない  
作成日時:2021年11月3日 6時

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