その愛、雨模様。

深切の模様です。(kid)☆ ページ19

｢A、朝だよ、起きて｣
微睡みの中、優しく肩を揺さぶられて意識が覚醒した。
目を開けると、優しい笑顔で私を起こす晴くんと目が合う。
『おはよ〜』
目を掻きながら朝の挨拶をすると、晴くんはまた微笑んで挨拶を返してくれた。
｢おはよ、朝ご飯準備出来たから顔洗いに行こっか｣

うん、と頷いて晴くんに手を伸ばす。
彼はよいしょと私を横抱きにして、寝室から洗面所へと私を運び、洗面台の前の椅子に座らせた。
まず軽くうがいをしてから言われた通りに顔を洗い、リビングへと消えていった晴くんを呼ぶ。
｢はーい、ちょっと待っててね｣
壁越しに彼の優しい声が聞こえてきて、大人しく分かった、と返事をする。
少ししてパタパタと晴くんがこちらに小走りでやってきたので、先程と同じように運んでもらおうと手を伸ばした。

ふわふわと揺れながら移動する感覚は未だに慣れない。晴くんが私を落とす事なんて無いと思っているからそこの所は安心だけど、どうしても拭いきれない恐怖心はあるもので。
ぎゅ、と彼の首に回す手の力を強めて晴くんの胸に顔を埋めた。そうすると晴くんの心臓の音が聞こえてきて安心出来る。今回もそれは同じで、とくんとくんと一定のリズムで聞こえてくるそれに酷く安心した。

自分の分のコーヒーを慌てて用意する晴くんを眺めながら地につかない足をバタバタさせる。
目の前には美味しそうな朝ご飯が並んでおり、さっきからお腹の虫が鳴いている。晴くん、早く来ないかな。
｢ごめんね、お待たせ｣
彼の分のコーヒーと、私の分のフォークやスプーンを持った晴くんがリビングに入ってくる。
手を合わせて頂きますをしてから、晴くんに『オムレツ食べたい』とリクエストをする。
彼は｢分かった｣と優しく笑うと、綺麗な黄色をしたオムレツを1口分に分けて私の口へ向けた。
『美味しい』
オムレツを咀嚼して思ったことをそのまま晴くんに伝える。彼はうれしそうに、安心したようにふわりと笑った。｢なら良かった｣
次に毎日出してくれるトマトスープ。
晴くんのトマトスープはちょっとだけ味が濃いんだけど、そこもまた美味しいんだよね。
｢はい、あーん｣
程よく冷まされたトマトスープが口の中に入ってきて、やっぱり美味しいなと顔を綻ばせた。

『晴くん』
｢なあに？｣
朝ご飯を食べ終わり、食器も片付け終わった晴くんに私は言った。
『いつもありがとね』
晴くんは嬉しそうに笑った。
｢どういたしまして｣

手繆理にはご注意を。(kid)☆ 注意→←あい情にはご注意を。(ibrhm)☆

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