その愛、雨模様。

創痕にはご注意を。(gnzk)☆ ページ33

最近、Aは前よりも笑顔を見せることが少なくなってしまった。そりゃあそうだ。男に襲われかけ、挙句の果てには気持ちの悪い告白とナイフのプレゼントを受けたのだから。
しかも、そのせいで男が怖くなってしまった、と彼女は眉を下げて言っていた。彼女の仕事上男と関わる事になる確率はほぼ100%で、絶対に男は避けて通れない道なのに。それなのに、怖いの、と。

｢.....やっぱり｣

今日も泣き疲れて眠ってしまったAをお姫様抱っこ状態にし、彼女を起こさないよう小さな声で呟く。

やっぱり、早々に閉じ込めておくべきだった。
そうすれば彼女がこうやって日々泣き跡を作ることだってなかっただろうし、彼女の綺麗な肌に傷跡が残る事だってなかった。幸いナイフの傷が浅かったおかげで直ぐに退院･仕事復帰は出来たが、Aの精神状態は最悪だ。仕事中だって男が居るせいで落ち着かないし、少しでも時間があれば当時のことを思い出してしまうらしい。彼女だけは護りたかったのに、と何度心の中で苦虫を噛み潰しただろう。あいつさえ居なければ。..彼奴さえ、居なければ。

ただ、そんな中でも、犯人に感謝すべき事はあった。

Aが、事件のおかげで僕以外の男と全くの接触をしなくなったのだ。それどころか彼女は僕が居ないと安心出来ないらしく、ここ最近Aは僕の後ろをずっと着いてきている。僕としてはその方がAを付きっきりで見てられるし癒されるしで万々歳だから、そこだけは唯一犯人に感謝していた。

..でも、日常生活の中でどんなハプニングが起こるか分からない。だから僕は、Aに僕から離れることや僕以外の誰かと勝手に話すこと、刃物に触ることを禁じた。今のAには、僕しかいない。彼女もそれを自覚していたらしく、驚くほど簡単に条件を飲み、今日までそれを一度も破ること無く過ごしている。

もうこれ以上、Aが傷を負わないように護らなくちゃ。

決して安らかとは言えない寝顔にそっとキスを落とし、僕は自分の家(････)へと向かった。
＿
リク12作目。
過保護んづきです。
あれもこれもどれもって、一体何を示しているんでしょうね。

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