予想外のお誘い ページ8
思っていた以上に強かったらしい紫外線は私の肌を火照らせると共に、結構しっかりと体力を奪っていたようで。
タオルで細かく冷やす気力がなくて、滑り込んだ浴室から出たら予想より肌寒かった。そういえば、この時期よく風邪を引いていたような。
あれ、プレミったかな、なんて少し後悔しながら服を着込んで、髪を乾かそうとドライヤーを手を取った瞬間だ。
ぴこん、と反響する電子音。なんだろうと振り返ると、棚に置いたままのバッグが目に入る。
あぁ、スマホの通知音か。納得して手を伸ばせば、案の定通知を知らせるランプが光っていた。
ふやけた手では指紋認証出来ずに、パスコードで画面を開く。メッセージアプリとメールボックスに数件の通知。
メッセージの方は企業の公式アカウントのもので、メールボックスの方はマネージャーから。件名を確認して、少し動きが止まる。
「…………え。あ、えぇえ？」
件名には、"イベント参加の依頼"の文字。
ご丁寧な挨拶と、導入。そこからさっそく、と告げられた分には、"公式イベント"と"参加の可否"の文字。
詳しく確認すると、二週間後に都内で行われる予定であるタイアップ記念の公式イベントに、時間と進行の都合上、急遽コラボ商品の紹介コーナーが追加されたらしい。
既存のメンバーで行っても良かったのだが、せっかくなら、と知名度アップも兼ねて、新人枠に入る私へお声がかかったようだ。もちろん、急な話なので不都合があれば構わない、という話だったが。
正直に言うと、参加は、したい。
だって、こんなチャンスが今後いつ来るかも分からないし、せっかく活動している以上リスナーさんを喜ばせたい気持ちも、より多くの人に知ってもらいたい気持ちもある。
でも同時に、不安も大きい。急遽決まったこととはいえ立派なコーナーのひとつを、恐らく一人ではないだろうけど任されるのだ。
悩んでいても決められる気がせずに、ちらりと時計を確認する。まだ夕方の範囲内。
連絡先一覧を開いて、マネージャーさん、の文字を選ぶ。通話ボタンをタップすると、何度かぷ、ぷ、ぷ、と音がしてコールが鳴り響いた。
「もしもし、望月さん？お疲れ様です」
二コールめで直ぐに通話がつながり、どうかされましたか？と声が飛んでくる。
こちらもお疲れ様です、と返事を返した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凡(プロフ) - はじめまして！！この作品が大好きで何度も何度も読み返しています。これからも活動応援しています！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: b829afb215 (このIDを非表示/違反報告)
莉紬(プロフ) - りあさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。細かいところまで気にしていただいて、丁寧にかいた甲斐がありました。ぜひ、今後もお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年6月30日 13時) (レス) id: 99f03ec5b8 (このIDを非表示/違反報告)
りあ - 一気読みしました、、、！とても好きです…！作中にサンダーソニアが出てきたときは思わず声を出してしまいました…！！ (2021年6月29日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
律(プロフ) - 神さん» とても嬉しいコメントありがとうございます。そう言って頂けますととても励みになります。ぜひ、最後までお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年5月11日 22時) (レス) id: 99f03ec5b8 (このIDを非表示/違反報告)
神(プロフ) - はじめまして。数日前にこの小説を見かけ、読ませていただいたところ本当に面白くて一気に読んでしまいました。差し出がましくて申し訳ないですが、これからも更新を応援しております。 (2021年5月11日 21時) (レス) id: bf2877755d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：律 | 作成日時：2021年5月5日 0時
