最悪の目覚め ページ30
目を開けると、両脇に葛葉くんと叶くんがぐったりと倒れているなんて、誰が想像できるだろう。
昨日何かしたっけ、と思い、記憶を辿るけれど、どうも思い出せない。そこだけ誰かに抜き取られたみたいに、綺麗さっぱり記憶が消えている。
そもそもなんで2人が居るんだっけ?
きょろきょろと周りを見回してみると、食べ終わってそのままのお皿、段ボールから取り出したまんまのパソコン。そして、大量の酒の空き缶。
それは、紛れもなく、俺の大好きな種類のやつだった。大量に買って、少しずつ飲もうと思っていたやつだ。
……え?
そこで、俺は最悪の展開が脳裏に浮かび、急いで冷蔵庫を見に行く。
勢い良く冷蔵庫の扉を開くと、昨日はあったはずの缶のお酒がひとつも残っていない。
そこでやっと察して、サアッと青ざめた。
俺はお酒がとても弱い。だけど、今まで一人暮らしだったし、なおかつストレスを晴らすには丁度よかったので気にしたことはなかった。
お酒を飲む時は、毎回必ず次の日の朝に目が覚め、周りには大量の空き缶が散らばっていた。
だけど、消え去ったストレスに満足して別に何も思わなかった。
が、今回は違う。
葛葉くんと叶くんに見られてしまったかもしれない。…いや、きっと見られただろう。きっと迷惑もたくさんかけている。
そこで俺の焦りはピークに達し、思わずその場にしゃがみ込んで叫びたくなった。
なんてことをしたんだ、俺は。そういえば昨日は配信をやるから俺の家に集まる予定だったはず。
いや、きっと配信は取りやめになったはず。流石にそんな状況で配信を行なって、俺の醜態を晒すことはしないだろう。
それでも不安は拭えず、恐る恐る携帯を手に取り確認すると、そこにはライバーさんからの同情のメッセージ、みんなからの驚きや憐れみのメッセージも。
「……え?」
「ふぁ……おはよう、壮真……?どしたの」
呑気にあくびをしながら俺の携帯を覗き込んでくる叶くん。
「…なんで配信したの」
顔を上げた叶くんは、まるで笑いを堪えきれないといった顔で口を抑えた。
「いや、だってさ壮真があの状態でも配信するって言うから」
とうとう笑いが堪えきれなくなって、笑いながら話す叶くん。そして、俺は叶くんを、これでもかというくらい睨んで、こう言った。
「俺のイメージ、変な人になったらどうすんの!」
そのあと、起きて来た葛葉くんに同様に笑われたのは言うまでも無い。
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gibyaso754(プロフ) - 名前変換できるようにして欲しいです (1月22日 8時) (レス) @page4 id: 1e4176b142 (このIDを非表示/違反報告)
はーしーですよ。(プロフ) - その後2人が楽しく配信出来たのか気になる所!これからも応援します。 (2023年5月9日 22時) (レス) id: 83bbff44cf (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 33さん» コメントありがとうございます!面白いなんて言っていただけてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月29日 13時) (レス) id: 96896c9c2e (このIDを非表示/違反報告)
33 - めちゃくちゃおもしろかったです!!!!!更新頑張ってください (2022年7月29日 13時) (レス) @page33 id: ce81fe4080 (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 綺羅さん» コメントありがとうございます!やっとですね笑!楽しんで頂ければ幸いです! (2022年5月25日 22時) (レス) id: 9a72bcc81d (このIDを非表示/違反報告)
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