【RAB】時を紡ぐ、重ねてく。〈2〉 (ページ6)

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俺は、何をしたい…? ページ6

『てゅーし、
　お前これからどーすんの?』

前に言われたネスの言葉が、頭の隅にずっと引っかかっている。

『実績を得た今、何をするの?
　強みとして、どう活かしていくの?』

…正直、そこまで考えてなかったな。

俺は、自分のために、
タイトルが欲しかっただけなんだ。

『無冠』という事実にずっと抱いてきた劣等感。
それを消し去りたくて、大会に挑み続けてきた。

やっと、フルボディタット日本一という目に見えるタイトルを獲得できたことで、少しだけ、プレッシャーから解放された。

だけど…

まだダメだ。全然足りない。
皆に追いつけたなんて、到底思えない。

俺は、もっとタイトルが欲しい。
誰からも認められるような、揺るぎない実績を。

元々ダンスはブレイキンから始めたから、そっちでも結果を残したい。

タットだったら、前に世界8位とかアジア2位とか取ってるから、世界一も目指したい。

『それを取れたら?
　その後どうするの?』

アイツに、そう聞かれそうだな。
俺は苦笑する。

…そんなの、わかんない。

タイトル獲得は、完全に自分のため。
誰かのためでも、何かのためでもないからな…

…じゃあ、タイトルと関係なくやりたいことは?

それは…
RABの夢を叶えること。

武道館でのワンマンライブ。そしてアニメ化。
それを、チームの創始者チャカさんも含めた10名で叶えられたら。

そのためにチームの活動に力を入れてるし、チームのためになるなら何でもしたい。

RAB外での仕事や活動を頑張ってるメンバーもいて、それはありがたいことで、だから逆に俺は、チーム内の活動を頑張りたい。
それが俺の、今のやりたいこと…

…

室内の空気がかすかに揺れた。
自分に近づいてくる影。

だが、今後のことを真剣に考えていた俺は、そのことに全く気づかなかった。