マネージャーは元Carat

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最後のチャンスだった





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元々音楽志望で将来を見据えていた私は
高校を出るまでに事務所へ入って練習生になる予定だった




路上ライブをしていれば
沢山の事務所にスカウトされたし
オーディションも軽々と受かってきた




でも毎回 親という壁にぶち当たってしまう
事務所のお偉いさんが頭を下げに来ても
『娘にはやらせない』の一点張りだった







「娘の夢 潰して楽しい？」







そんな事を言ってしまった日には殴られ
家に入れてもらえず ろくに喋ってもくれなかった


でも私は負けずにオーディションにも受けまくってなんとか練習生になろうと頑張ってきた




内緒でバイトをしてお金を貯めて
練習生になる手前だった

高校卒業前の3月 タイムリミットぎりぎりで
私はやっと夢を掴む第1歩を踏み出したと思ったのに







父「お前なにしてんの？」

「え？」




父「こそこそバイトしてお金稼いで
お前はそれを何に使うつもりだ？」

「...自分のために」

父「アイドルになるためにか」







お金も 取られ
事務所に連れられ 頭を下げさせられた






「すみません辞退させてください」






自分の口で 自分の夢を捨てた
悔しかった




この家に生まれたこと
親の指示に歯向かう勇気がなかったこと
私が 音楽を知ってしまったこと





ひとつの音を聞くのもうんざりだった
親の顔を見るのも嫌だった私は
夜遊びに溺れて 体を売るようになっていた




そんな私を助けてくれたのがおじさん
今の社長だ






社長「...マネジメントに興味はない？」






少しでも音楽をまた好きになって欲しいと
唯一の逃げ場が マネジメントという仕事なんだ



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