May.60 ページ23
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あの後、茨が「はっはっは!Aさんならそう言ってくれると思ってましたよ!ありがとうございます!」なんて愉快に笑っていた事を思い出す。
…はあ。まんまと茨に乗せられたなぁ。
会議室から出て、ぶらぶらと彷徨い歩いていれば、ベンチに辿り着く。どかっと座って適当に髪をかきあげた。
「浮かない顔してどうしたの?Aちゃんが浮かない顔してるなんて良くないね!悪い日和っ!」
顔をあげれば、ライトグリーンの髪色の日和と目が合う。
「……ひより」
日和が隣に腰をかけると、私の顔を覗き込んで心配そうな顔をした。
「…茨にさ、プロデューサーの補佐をやれって言われてさ…」
「茨が…?」
日和は私がプロデューサーをやめた理由を知ってる唯一の友達。レオすらも知らない私がプロデューサーを辞めた理由を、である。それは、プロデューサーを辞めるきっかけとなった事件で日和がたまたま助けてくれたから。
でも、私がそれを「誰にも言わないで」と言っているから日和は黙ってくれている。
そんな日和に今さっきあったことを全て語った。
「…茨はAちゃんのこと、何も分かってないね」
「まあ、誰にも言ってないしね」
「やりたくなければ、やらなくてもいいね。どうせ、2winkのことだって茨が仕組んだことだろうしね。Aちゃんが気にすることはないね」
そう、日和曰く2winkのあの問題は恐らく全て茨の企み。私が断ってしまっても2winkが悪いようにはならないと。
「でも…さ。1度引き受けた仕事を辞めるのは、さ。ちょっと違うじゃん」
「…。Aちゃんがやりたいならやるべきだね。でも、無理しないように適度にやったらいいね。辛くなったら、いつでも連絡していいね。」
「ありがとう、日和。」
プロデューサーの補佐だから、あくまでプロデューサーでは無い。
あの女の補佐をする、というよりあの女の根本を正す、ってことだよね。だから、大丈夫。
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作者名:玲咲 | 作成日時:2021年5月1日 0時